パワハラが問題視される昨今…「怒るか」「怒らないか」はどう判断するべき?明確にすべき“3つの境界線”【アンガーマネジメント協会代表理事が解説】
怒りを感じたとき、どう対応していますか? 感情に任せて後悔することや、我慢しすぎてストレスをため込むことはないでしょうか。パワハラが問題視される昨今、特に職場での怒りの扱い方は重要です。研修講師として25万人以上にアンガーマネジメントを指導してきた戸田久実氏は、「怒らない」ことではなく、「怒りを上手にコントロールする」ことが、人間関係を円滑にし、ストレスを減らす鍵だと話します。戸田氏の著書『アンガーマネジメント大全』(日経ビジネス人文庫)より、怒りと賢く付き合うための方法を一部抜粋・編集してお届けします。 都道府県「従業員の労働時間」ランキング
「怒るか」「怒らないか」はどう決めればいいのか?
「怒る」「怒らない」の境界線を明確にする 怒ると決めたことについては適切な怒り方ができる、怒らなくていいことには怒らなくてすむようになる──。 そのためには、「怒る」「怒らない」の境界線(「べき」の許容範囲)を明確にすることが大切です。とくに、長く関係の続く相手とは、お互いの境界線を明確にしながら付き合いましょう。 事例 約束した仕事の期限はちゃんと守るべき (1)約束した期限のジャストタイムまでに、成果物が仕上がり、報告もすませる (2)間に合わないのであれば、せめて期限日の前日の就業時間中に、理由と現状を報告する (3)間に合わないという報告が、前日の就業時間を超える。または報告もなく、期限も守らない ※基準は図1の「怒る」「怒らない」の境界線 「約束した仕事の期限をちゃんと守るべき」「守れないのであれば、前もって報告すべき」というように、曖昧な表現で「べき」を伝え、境界線が不明確になってしまっていることはないでしょうか? 一度見直してみてください。
境界線について心がけたい3つのこと
1.境界線を広げる努力をする 自分の「べき」の許容範囲が狭く(1)しかないと、ついイライラしがちになってしまいます……。 →「せめて◯◯であればOK」「少なくとも◯◯してくれればOK」「最低限◯◯ならばOK」と、許容範囲を少しでも広げられないか考えましょう。 これをしていると、許容範囲が少し広がり、イライラが軽減していきます。 2.境界線を一定にする努力をする 自分の機嫌によって、境界線をコロコロ変えると、相手を戸惑わせてしまいます……。 NG例:部下に対して「時間を守るべき」を伝えたくて叱る場合 前回は機嫌がよかったため、会議開始時間より3分遅れても叱らなかったのに、機嫌が悪いときには、会議開始時間ちょうどに来たのに「ギリギリすぎる。5分前には来るように!」と叱った。 →境界線の広さを、自分の機嫌によって広くしたり、狭くしたりすることのないようにしましょう。 3.境界線を伝える努力をする 日頃から、次のことを意識してみてください。 ・「言わなくてもわかるはず」と思い込んでいないか、振り返ってみる ・自分がどのような「べき」を持っていて、何をどのようにしてほしいのかを相手に具体的に伝える ・「ちゃんと」「しっかり」といった曖昧な表現は避ける そうすると、お互いのズレがなくなります。