大麻由来成分、改正法施行で「違法」に明確な線引き CBD製品業界に混乱 販売停止相次ぐ
「世界に類を見ない高い基準だ。透明性の高い情報開示で信頼される産業を築く」。大麻を「麻薬」と位置づけ、他の規制薬物と同様に使用罪を適用する麻薬取締法と大麻取締法の改正法が12日に施行し、大麻由来成分「カンナビジオール(CBD)製品」に明確な規制基準が設けられた。それに先立ち、製品を扱う4団体の代表らは11日、東京都内で会見を開き、そう繰り返して歓迎した。 CBDは大麻草の成熟した茎や種から抽出したものに限定し、幻覚作用があるTHCとは違い、リラックス効果が得られるされる。大手通販サイトには、オイルからクリーム、電子たばこなど、さまざまなCBDを含む製品が並んでいる。 しかし、一部にはTHCを含む違法なものが出回り、改正でTHCの残留限度値という明確な線引きがなされた。その値は例えば「水溶液」が0・00001%(0・1ppm)で「かなり測定するのが難しいほど小さい」(一般社団法人「全国大麻商工業協議会」の須藤晃通代表理事)。 このため、業界では一部混乱も生じた。 厚生労働省は関連業界に限度値を超える製品の処分を施行日までに行うように要請。しかし、業界は国際基準の検査法で、約70~80ppmの限界値で検査してTHCが検出不可のものを扱ってきており、業界内では製品の販売停止が相次いだ。関係者は「検査コストがかさみ撤退する業者が増えた」と語る。 ただ、明確な基準が設けられたことで、これまで「グレー」なものとみられてきたCBD製品が明確に「合法」だとの〝お墨付き〟が得られ、一般社団法人「麻産業創造開発機構」の新田均理事長は「市場がより透明で健全になり、消費者が安心して製品を取ることができる」とする。 一方、厚労省が懸念するのは、違法なCBD製品などが、より巧妙に売買され、消費者が手にすることだ。 一般的には、個人輸入や個人間売買は避け、信頼できるブランドなどを選ぶといった「予防策」があるとされるが、厚労省医薬局監視指導・麻薬対策課の担当者は「引き続き悪質なものに目を光らせたい」としている。(王美慧)