「高齢でもヨボヨボにならない人」は絶対に言わない…和田秀樹が警鐘「老人性うつ」になりやすい人の口グセ
■「年齢の壁」から上手に逃げる技術 では、いわゆる高齢者の人が、前述の“年齢の壁”からうまく逃げるにはどうしたらいいのでしょうか。 「ちょっとした好奇心」を大事にする。それだけでいいのです。 具体的に言うなら、「さあ、何を食べようかな」とか「ちょっと、外を歩いてこようかな」といった程度の好奇心でOKです。 こうした「ちょっとした好奇心」「前向きな気持ち」が、こころの健康の「素」になるからです。心が健康でいる限り、明るい気分を忘れることもありませんし、何よりも毎日の暮らしのなかで老け込んでしまうことはありません。 また、何を食べるにせよ、外出するにせよ、夫婦一緒でもいいし、別々でもいい。60代以降はお互い、そのときの気分に従って生きるのがいちばん。こうした毎日を過ごしていれば、後のことなど考えないですみます。 しかも、人生はまだまだ続きます。 元気でいる限り、そして気持ちの若さも失わない限り、人生には楽しいことがたくさん待ち受けているはずです。 たとえば、思いもしなかった人から「また集まろうか」と声がかかることもあります。その声を聞いただけで、気分はたちまち数十年も若返ってしまったということさえあるでしょう。 「老い」からうまく逃げていれば、なつかしい人たちの集まりに、若々しい気分のままで参加することができます。 そのとき、その顔も、昔と同じ笑顔を浮かべていたらどうでしょう? あなたもきっと、たちまちいちばん輝いていた時代に戻ることができるでしょう。 「老い」からうまく逃げれば、必要以上に追いかけてこないものです。 ■「別のルート」でも目的地にたどり着くことは可能 日本人の心の中には「この道ひと筋」「一本道で歩んできた」といった人へのリスペクトが潜んでいるように思います。たしかに「これしかない!」と脇目もふらずに生きてきた人たちは尊敬に値しますが、だからといってまだまだ先が長い人に、まるで「多様性」を否定するかのように「一本道の生き方」をすすめたり、当の本人がそれをめざしたりするのはいかがなものかと思います。 もし、あなたの車のナビが、一つしかルートを示してくれないタイプのものだとしましょう。 「コノ道シカアリマセン」というアナウンスに従ってドライブした結果、事故で道路が遮断されていたら、立ち往生してしまいませんか。 ですが、ルートをいくつも表示してくれるナビならどうでしょう。ひとつの道路が封鎖されていても、別のルートを使って目的地にたどり着くことができるはずです。 「いい大学に行かないといけない」「大企業や公務員など安定した職業につくべき」「周りから認められるいい人と結婚しないと」といった「正しさ」が行き詰ったときも同様です。