カズ所属のJFL鈴鹿「八百長未遂事件」の衝撃事実発覚に処分決定も告発者がSNSで反論して騒動は泥沼化
さらに仙台へ移動した同28日夜に、宿泊先のホテル内で吉田、塩見両氏、マルティネス監督、スタッフ4人、遠征に参加した選手17人によるミーティングが開催され、塩見氏から意図的に試合に負けるように、という指示が出された。 JFAの公式ホームページには塩見氏の具体的なコメントが掲載されている。 「同一地域の他チームに昇格されないように負けて欲しい」 「試合の終盤に3対0以上でリードしていなかった場合、DFラインとGKの連携ミスからオウンゴール等で失点して欲しい」 「わざと失点するようにペナルティーエリア内でファールをしてPKを与える」 八百長行為を指示されたと受け止め、激しく反発した選手たちに対して応戦した塩見氏の赤裸々なコメントも、同ホームページ上に掲載されている。 「お前らには嫌でもやってもらう」 「お前らがやらなければ俺がやる」 「試合に負けなければ途中でグラウンドに割り込んででも試合を中止させる」 収拾がつかない状況下で、吉田氏と塩見氏がいったん退席。監督と選手だけのミーティングが続行されたなかで、呼び戻された吉田氏が「クラブとして不正行為をしてほしいという意図は断じてない」と発言してその場を収めた。 その上で正々堂々と戦う意思が明記された誓約書が交わされ、冒頭には吉田氏の署名が入った、手書きによる同氏のこんな文言が記された。 「クラブは選手に場合により負ける選択肢を打診したが、これを撤回し、正々堂々と戦おうと指示した」 選手たちも署名したが、遠征に参加したうちの5人は仙台戦には出場せずに鈴鹿へ戻っている。ミーティングで塩見氏から「国へ帰れ」と言われたスペイン出身の女性指揮官、マルティネス監督はJFLの聴取に対してこう回答している。 「脅迫のような雰囲気での話があった。失点方法まで指示していて信じられなかった。とても残念な気持ちになった。いままで選手と積み上げてきたものをこのミーティングですべて壊されたような気持ちになった」 大分と2-2で引き分けた前節から先発だけで6人が入れ替わった仙台戦は、後半35分に決勝点を喫して0-1で敗れた。いわき、三重、大阪もすべて敗れ、J3へ昇格したのは宮崎だけと鈴鹿の望み通りになった。ただ、それまでの拮抗した試合展開から、鈴鹿が意図的に負けた、とする事情は見られないと規律委員会は結論づけた。 スイスに本社を置く専門の調査機関、Sportradar社に試合の映像解析を依頼し、鈴鹿の選手たちのプレーには不自然な兆候は見られなかった、という報告も受けた。八百長行為の指示は結果として未遂に終わったが、だからといって許容されるわけではない。 国際サッカー連盟(FIFA)が定める懲罰規程、FIFA DISCIPLINARY CODE(FDC)に照らした上で、金銭的な利得を目的としていない場合、例えば鈴鹿のように戦略的な敗退を目的とした行為も八百長に該当すると規律委員会は判断した。