辞意の韓国与党代表「良い道を探そうとしたができなかった」…尹大統領に警察など出頭要請
【ソウル=小池和樹】韓国の憲法裁は16日午前、弾劾(だんがい)訴追案可決で職務停止となった尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の弾劾審判の日程などを議論する裁判官会議を開き、審判手続きを本格的に開始した。これに関連して、保守系与党「国民の力」の韓東勲(ハンドンフン)代表は同日午前、党の混乱を招いた責任を取るなどとして辞意を表明した。 【一覧表】韓国で日本ブームが再燃している
憲法裁は、180日以内に審判を完了させると定められている。これまで弾劾審判を受けた韓国大統領は、左派の盧武鉉(ノムヒョン)氏と保守の朴槿恵(パククネ)氏の2人。盧氏は2か月後に棄却されて職務復帰したが、朴氏は罷免(ひめん)された。2人は一度も弁論に出席しなかったが、尹氏は法廷で自ら弁論に臨む方針とされている。
尹氏は12日に発表した国民向け談話で、3日夜に宣布した戒厳令について「大統領の高度な政治的判断だ」と適法性を強調しており、弾劾審判でもこうした主張を展開するとみられる。
一方、「国民の力」の韓氏は国会内で記者会見を開き、党代表を辞任する考えを明らかにした。尹氏の弾劾訴追案可決後、党幹部らが一斉に辞職しており、「正常な任務遂行が不可能になった」と理由を説明した。「(尹氏の)弾劾ではなく、より良い道を探そうと努力したができなかった」とも語り、謝罪した。
また、戒厳令を巡る捜査を行っている警察と、政府高官らを対象とする「高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)」などでつくる共同捜査本部は16日、尹氏に対して出頭要請を行うと発表した。出頭を要請する期日は18日。聯合ニュースによると、内乱などの容疑で事情聴取を行う方針だ。
これとは別に、検察も15日、尹氏に対して出頭を要請したものの、尹氏は応じなかった。16日にも再び出頭を要請するとみられる。尹氏が出頭要請を拒否し続けた場合、捜査機関が裁判所に逮捕状を請求する可能性もある。