がんになったらまず見ておきたいサイトは3つ…診療ガイドライン、標準治療、もし治療法に迷ったら……
「がん相談支援センター」を活用しよう
こうしたサイトなどを活用して情報を得たとしても、さまざまな疑問や迷い、不安が起こり、患者さんや家族ら身近な人にとって、落ち着いて考えて判断することは、とても厳しいことだと思います。もちろん、治療法や見通しについては担当の医師に相談したいところですが、相談内容や医師との相性によっては難しい場合もあるでしょう。 そこで、相談にのってくれる機関として、「がん相談支援センター」があることを知っておいてください。この機関は、全国の国指定の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」などに設けられています(2024年8月現在で476カ所)。 どこにあるかは「がん情報サービス」のサイトで最寄りの施設を検索できるほか、電話やチャットで同センターを探す手伝いをする「がん情報サービスサポートセンター」もあり、手軽に問い合わせることができます。 相談窓口では、がんに関する治療、病院の選びかた、療養生活全般、仕事との両立、診察費などお金のこと、セカンドオピニオンの紹介、家族や職場にどう伝えるかといったコミュニケーションについてなど、どうすればいいのかわからないことや不安に思うことについて尋ねることができます。 無料で、患者さん本人や家族、パートナー、また匿名でも、対面でも電話でも相談が可能です。メディアから得る情報とはまた違って、自身の病状や生活状態、環境に即して、専門家からのアドバイスを得ることができるでしょう。 「何を質問すればいいかもわからないが、漠然と不安だ」「がんと言われて頭がまっ白だ。何から考えればいいのか……」といった場合でも、相談者にとって必要な情報を吟味して提供、相談にのってくれるでしょう。ぜひ活用してください。
「標準治療」ががんの最良の治療法
先述の「がん診療ガイドライン」には、「がん診療ガイドラインの策定、普及は、国民が安心してどこでも標準的ながん診療を受けられる環境を構築するうえで必要不可欠なことです。」と記されています。 「標準治療」ということばをメディアなどで耳にすると思います。これも「何のことなのかわからない」とよく尋ねられる医療用語のひとつですが、この文中の「標準的ながん診療」という文言がそれを示しています。 「標準治療」ということばの響きから、「並」レベルの治療のことだと勘違いされることがありますが、そうではありません。 「がん情報サービス」のサイトでは、「標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる『最良の治療』であることが示され、多くの患者に行われることが推奨される治療のことをいいます。」と明記されています。 また、「標準治療」とは具体的に、「診療ガイドラインに掲載されている治療法」のことであり、各分野の医学会が推奨する治療を指しています。つまり、ある分野のがんの「標準治療」を知りたい場合は、そのがんの診療ガイドラインや、一般向けにわかりやすく説明された解説書を参考にしようということです。 それには、これまでに紹介してきた「Mindsガイドラインライブラリ」「がん診療ガイドライン」「がん情報サービス」をあたりましょう。 医師は患者さんに、病状に応じていくつかの治療法の選択肢を伝えますが、その際には「いまの標準治療は、こうです」と説明するでしょう。くり返しますが、「標準治療」とは、その分野の疾患に関していまもっとも良いと考えられる治療法のことです。そして、各種のがんを含め、「標準治療」の治療費のほとんどは公的医療保険適用となっています。 実際の医療現場では、「標準治療」の方法を踏まえたうえで、医師の経験や、患者さんの状態、希望などを尋ねて最良の治療法を決めていきます。
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