大谷翔平の快挙の陰で、今永、誠也、吉田、菊池、松井...MLBで活躍を続けている日本人選手たち
ボストン・レッドソックスの吉田正尚も、後半戦は絶好調で打ちまくっている。6月下旬までは打率.240以下で苦しんでいたが、オールスター以降は.339と爆発。 一時は.300に乗せ、打率で大谷を抜いて日本人トップに躍り出るなど、再びレッドソックス打線に不可欠な存在となった印象がある。復調の要因を吉田に問うと、シンプルに「より積極的に打つこと」だったという。 「全部を振り返ったときに、メジャーに来てからずっとファーストストライクが一番甘い。『(ボールを)見て、見て』だと、最終的にコースを散らされてしまう。それよりも最初のストライクをしっかりスイングできる準備をして、その中で見逃すのか、打ちにいくのかを決めていきたい」 そんな言葉どおり、最近の吉田はアグレッシブかつ豪快なスイングが目立つ。走者を置いた場面では打率.338、特に2アウトでの得点圏打率が.457と、今季は勝負強さも目立つ。5年9000万ドル(約135憶円)という大型契約を交わしたため、厳しい視線にさらされることも多いが、今年は吉田の評価回復のシーズンになっている。 MLBではシーズン中、優勝を狙えるチームにトレードで獲得されることは大きな名誉とされる。トロント・ブルージェイズでの投球が認められ、今年のトレード期限にア・リーグ西地区1位のヒューストン・アストロズに移籍した菊池雄星もそのひとりだ。 ブルージェイズでは4勝9敗、防御率4.75と、一見するといまひとつの成績だったが、潜在能力を評価されてアストロズに獲得された。 移籍後には期待どおり、いや、期待以上の投球を続けている。8月31日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦では、7回1失点12奪三振の好投で今季7勝目。新天地で6試合に先発して3勝0敗、防御率2.57と好成績を残している。その6戦をアストロズは全勝しており、ラストスパートをもくろむチームの〝切り札〟的な存在になった。 2位に大きく差をつけたアストロズの地区優勝は濃厚で、このままいけば菊池にはプレーオフでの先発機会が訪れる可能性も高い。33歳になった左腕は今秋、メジャーキャリアのハイライトを迎えることになるかもしれない。 さらに投手では、中継ぎという脚光を浴びることが少ない立場ながら、サンディエゴ・パドレスでのメジャー1年目で59戦に登板してきた松井裕樹の貢献も見逃せない。ワイルドカード圏内にいるチームのブルペンの一角を担っており、こちらもポストシーズンでの登板機会は十分にありえそう。 また、松井と同じパドレスに所属するダルビッシュ有は、個人的理由で一時離脱していたものの、プレーオフの時期には復帰できるかもしれない。 故障の連続で今季は1試合の登板にとどまっているニューヨーク・メッツの千賀滉大も、ポストシーズンでの復帰を目指している。あくまでチーム次第だが、今年はポストシーズンでも多くの日本人選手のプレーが見られるかもしれない。 「日本人プレーヤーの当たり年」はどんな結末を迎えるのか。大谷はもちろんだが、それ以外の選手たちからも最後まで目が離せない。 取材・文/杉浦大介 写真/アフロ