美村里江さん

夫婦で祝いたいことがあり、評判の良い人気料理店に予約を入れることにした。時々釣りに行くエリアなので、軽く釣りをしてその帰りに、という計画である。 予約困難の人気ぶりとは聞いていたのだが、一見（いちげん）さんの電話受け付けでは難しく、予約専用サイトで一定期間内の予約を一斉に取るという。予約完了時点で1人数百円かかるが、普段の外食は夫のリクエストで気軽なチェーン店が多いわれわれ。時々しかないことだしこれも経験と、予約枠争奪戦に参加してみることにした。 指定の○月○日×時。数分前からスタンバイしていたが、ちょうど夫が起きてきて「おはよう」「体調どう」などと二言三言交わし、画面をみたら「ご予約可能な枠はありません」という表示のままだった。 時間はちょうどだったのでリロードしてみたが、変わらず。システムエラーかな、と考え何度か繰り返したがそのままだった。ちょうどわが家のネット環境も乱れていた時期だったので、まあ急ぐこともないしとゆるく考え、1カ月後に再トライしてみることにした。 △月○日×時。 今度こそという思いで待機していたが、また同じような現象が…。一度も受け付け可能体制にならないのだ。昼と夜の部で1日大体20席。上得意様の押さえがあるとしても、数百席分がこんな1、2秒で埋まってしまうものなのか？ 日頃からはやり物や人気店に疎い私はなんだかワクワクと面白くなってきて、難しいゲームに参加する気持ちで迎えた三度目の正直。 ×月○日×時。秒数まで目視してぴったりにクリックしたところ、一瞬だけ「他のお客様が仮予約中です」というピンクの表示に！　急いで再クリックしたところ「ご予約可能な枠はありません」の灰色表示に切り替わった。 噓やん…。 驚きのあまり心中にエセ関西弁が漏れ出た。本当に予約席確保を目指して、ここのお店で食事したい人が、この時間に相当数集っているのだ。そのことに感激のような思いが湧いてきた。 人気グループのライブを追っかけている知人に話したところ、「そんなのザラにあるよ～」と明るく笑っていた。人の熱意というのはすごい。

お祝いは別のお店を選び直したが、そこまで人の集まるお店はいつか行ってみたい。次なる○日×時が楽しみだ。