これで「子ども1人の誕生につき1000万円支給」を実現できる…エコノミストが提案する新たな"金融商品"
少子化を抑制する実質的な財政とは何だろうか。畑作をしながら子育てをするエコノミストの崔真淑さんは「子どもを産み育てたいと思わせるインセンティブを設計したうえで、子育てのコストを下げながら、かつ教育環境を充実させることが必要だ」という――。 【図表】主な政党の少子化対策・財源を巡る公約 ■「教育国債」をヒントに「子ども国債」を提案 暦ははや師走も中盤戦。寒暖の差にとまどいながらわが子と冬の畑仕事をしていると、どうしても日本の行く末を考えてしまいます。 「この子が大きくなる頃には、日本はどうなっているんだろう?」 令和になってから生まれたわが子らの世代にとって、これからの社会が良い芽が育つ、良い土壌であってほしい。そのためにはやはり、具体的な政策を国に求めていかなければいけません。理想論でも悲観論でもなく、いわば、コスト感覚に基づいたリアルな政策です。 今回は、教育について。なかでも教育の根本を支えるお金、教育費についてです。 具体的には、国民民主党の政策である「教育国債」(*1)をヒントに、日本の教育と子育て予算の大幅な増額と確保について考えてみます。というのも以前より、子どもの教育費のために「子ども国債」があればいいという考えが私にはありました。今回、当政策上の「教育国債」という文字を見ながら、もしかしたら近い将来ほんとうに実現されるかもしれない、という希望が湧いたのです。 (*1)新・国民民主党 つくろう、新しい答え。「3. 人づくりこそ、国づくり」オフィシャルサイトより ■良い教育は良い納税者を育てる 国債とは、国が資金を調達するために発行する債券(借金の証書)のことです。 日本では財務省が発行し、国債を購入した人や機関は、国にお金を貸したことになり、その見返りとして、一定期間後に元本(借りた額)が返済され、利子が支払われるしくみです。要するに国債とは、税収だけではまかないきれない国の予算を補塡(ほてん)するオルタナティブな手段であり、とても重要な選択肢です。 実際のところ、具体的な政策も施されています。政府は少子化と人口減少の課題に対して「こども未来戦略」(令和5年12月22日閣議決定)を策定し、その中で総額3兆6000億円規模の「こども・子育て支援加速化プラン」を取りまとめました。 さらに本年6月12日には、「子ども・子育て支援金制度」の創設を含む法律が成立し、児童手当拡充の財源の一部として「子ども・子育て支援金」を充てるとしています(*2)。 ここに「子ども国債」をさらに加える、というのが私の提案です。 (*2) こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」