これで「子ども1人の誕生につき1000万円支給」を実現できる…エコノミストが提案する新たな"金融商品"
■1、2万円から始められる有益な金融商品 「子ども国債」と名づけるわけですから、用途は子どもの教育のみに使います。この国債によって子どもたちがより良い教育を受けられれば、ひいてはいわば、より良い“納税者”となるわけです。ということは、採算がとれる可能性が高い。むしろ増額するともいえるので、機関投資家に国債を買ってもらうためのIRストーリーが立てやすい。軍事国債やGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債より、よほどリターンが大きい可能性もあります。しかもリターンの実態を想像しやすいことからも、通常の国債よりも売れるのではないか。私はそう考えています。 国債ですから、日本人ばかりでなく外国人投資家も買えます。通常の国債のように1、2万円で「子ども国債」を買うことができれば、個人でも気軽に始められる有益な金融商品になるのではないでしょうか。 そもそも現在の日本の少子化対策は、基本的に子どもを持つ世帯向けのものになっています。しかし少子化の流れを本気で止めるためには、「将来、子どもを産みたい」と思う人を増やすことが先決です。 ですからまずは、子どもを産み育てたいと思わせるインセンティブを設計したうえで、子どものいる人に向けて「子育てのコストを下げながら、かつ教育環境を充実させる」という二階建て思考で取り組む必要があるのではないでしょうか。 ■子ども1人につき1000万円というインセンティブ その財源に「子ども国債」を重点的に充てるのです。繰り返しになりますが、この国債の発行条件は、あくまでも「用途は教育関連のみ」ということが重要です。 子どもを産む人へのインセンティブとしては、「子ども1人の誕生につき1000万円支給」など、まさに出産の奨励金のような発想が必要です。「えっ?」と驚かれた方も多いでしょう。ですが、この額面は、決してむやみなものではありません。 なぜ、「1000万円」なのか。根拠は教育学費です。幼小中高大とオール公立教育であれば、学費の総計はおよそ1000万円といわれています(物価高の現在では、さらにコストはかかっているでしょう)。ですから養育に伴う1000万円の支給があれば、子どもが成人になるまでの教育費はとりあえずまかなえます。 ただし一括で支給されるわけではなく(そうすると親のポケットに入り込んでしまう可能性もありますから……)、子どもの成長に合わせて分割支給するなどといった工夫が必要になるでしょう。