「オーナーがパソコン分からない」から社員も使わない?/人気とんかつ店、会社ルールを刷新して成長~井筒まい泉後編
◆「考えて動く」社員が増えれば会社は安泰
岡本氏が事業を引き継いでから、10数年で売上は70億から120億と、倍増に近い伸びを見せました。 近年の新しい事業の一つは、東京駅に出店した、カウンター中心でスピーディーに食べられる「まい泉食堂」。 場所柄、列車待ちなどの短時間で食事をするニーズに応える店です。 さらに、オリジナルブランド豚の提供も開始。 とろけるような脂身の甘みが一度食べたら忘れられないブランド豚「甘い誘惑」は、2年探してやっと出会えたといいます。 2022年4月、岡本氏は社長を同じサントリー出身の國弘克英氏に譲り、自らは会長に就任しました。 國弘社長もまた、岡本氏が掲げたスローガン「家業から企業へ」を推し進めていきたいと意気込んでいます。 岡本氏が社員に言ってきたのは「考動」しなさい、ということ。 行動ではなく「考えて動く」。 お客様のためには、いい商品を作るためには、どうしたらいいかと自分たちで考えて動ける社員が増えれば、その会社は絶対安泰だと思っているそうです。 「会社ってやっぱり、トップと社員との信頼関係を作ることが一番大事だと思います。社員たちのことをよく見て、信頼関係を作って、新しいビジョンを作ってあげる。会社はあなたたちのことをきちんと見ています、ダメという時もあれば、よくやったねっていう時もある。それをちゃんとリーズナブルに見てますよ、ということを、どう伝えていくか。これも大事ですね」 (2022年12月に取材した内容です。)
■井筒まい泉
とんかつやカツサンドのブランド「とんかつまい泉」を展開する。1965年に東京・日比谷に1号店が開店し、2008年にサントリーグループに入る。2023年4月現在、直営レストラン13店舗のほか、百貨店や駅構内に64店舗を持つ。タイやフィリピン、台湾にもレストランがある。売上高は116億円(2022年度)、従業員数は342名(2023年3月現在)。