定年退職後は「国保」に入るしかないのでしょうか?「年金生活」になるので負担を減らしたいです。
日本では、定年退職後も健康保険への加入が義務付けられています。75歳の後期高齢者医療制度を利用するまでは保険料の支払いが必要ですが、年金だけで支払う場合の負担が気になる人もいるでしょう。 今回は定年退職後の健康保険について、国民健康保険以外の選択肢を紹介します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
定年退職後は国民健康保険へ加入するしかない?
結論からいうと、定年退職後の健康保険は国民健康保険だけでなく、勤務先の健康保険を継続できます。任意継続被保険者制度と呼ばれ、最大2年間の加入が可能です。 ただし、任意継続被保険者制度を利用する場合、加入条件を満たす必要があるようです。また、保険料の部分にも変更があるため、国民健康保険とどちらが安いかを比較して決めた方がいいでしょう。
任意継続被保険者制度とは
厚生労働省保険局「任意継続被保険者制度について」によると、任意継続被保険者制度とは、「健康保険の被保険者が、退職した後も、選択によって、引き続き最大2年間、退職前に加入していた健康保険の被保険者になることができる制度」と述べています。 主に退職した際に利用するケースが多く、資格喪失の前日までに2ヶ月以上の加入実績がある場合に対象となります。 任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過した後は国民健康保険へ切り替えをしたり、扶養家族に入ったりする必要がある点に注意しましょう。 ■任意継続被保険者制度の保険料 任意継続被保険者制度の保険料は、退職時の標準報酬月額、または当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い額をもとに計算されます。標準報酬月額の上限は30万円となり、算出された金額に住んでいる都道府県の保険料率(40歳以上65歳未満の場合は介護保険料率を含む)を乗じた額が毎月の保険料です。 国民健康保険よりも任意継続被保険者制度の方が安くなるかは、退職前の給与はもちろん、扶養家族の人数によっても異なります。国民健康保険よりも安くなるケースもあるため、どちらを選ぶかは比較しながら検討しましょう。 あわせて、任意継続被保険者制度を利用する場合の保険料は全額自己負担となります。勤務先による保険料の半額負担はなくなるため、注意が必要です。 また、加入中に保険料が変動することは基本的にありませんが、全国健康保険協会 協会けんぽ「保険料について」では、以下に該当する場合は金額が変わると述べています。 ●任意継続加入中に40歳になり介護保険第2号被保険者に該当した場合 ●任意継続加入中に65歳になり介護保険第2号被保険者に該当しなくなった場合 ●都道府県別の健康保険料率や介護保険料率が変更された場合 ●標準報酬月額の上限が変更された場合 ●保険料率の異なる都道府県へ転出した場合 ■任意継続被保険者制度の資格が失われるケース 任意継続被保険者制度の資格は、2年が経過したタイミングで失われます。また、全国健康保険協会 協会けんぽ「資格の喪失について」を基に喪失となる事由をご紹介します。 ●加入者(ご本人)が就職して健康保険などの被保険者の資格を取得したとき ●保険料を納付期限までに納付しなかったとき ●加入者(ご本人)が後期高齢者医療制度の被保険者の資格を取得したとき ●加入者(ご本人)が任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出たとき ●加入者(ご本人)が亡くなったとき なお資格喪失後、全国健康保険協会から「任意継続被保険者資格喪失通知書」が届きます。通知書が手元に届いたら、保険証や高齢受給者証などの交付されているものをすべて送り返しましょう。 また、加入者が亡くなった場合のみ「資格喪失申出書」と「埋葬料(費)支給申請書」に保険証を添付して送り返す手続きが必要です。