休職者の割合は年々増加...1人抜けるだけでピンチに陥る「自転車操業の日本の職場」
メンタルヘルス不調を招く職場の「不健康サイン」
メンタルヘルス不調が起きる要因は、仕事量だけではありません。心理的負担感も、とても大きな要因になります。仕事量が多いところに、さらに「なんで自分がやらなきゃいけないの!?」といった心理的負担感があると、イライラ、孤独感、徒労感、無力感などが生まれて、ストレス度は一気に高まります。 つまり、「職場の同僚のフォローに疲れた」という状況は、仕事量と心理的負担感が合わさったときに起こる現象の典型例なのです。 職場の同僚をフォローすることは、サポート体制の1つとして考えれば決して悪いことではありません。とはいえ、名もなきフォローに無理なかたちで頼らざるをえない状況は、メンタルヘルス不調を招く職場の「不健康サイン」といえます。
日本の美徳「おもてなし精神」が働く人を追いつめる
また、日本の美徳の1つといわれる「おもてなし精神」も、職場の名もなきフォローを増やす一因になっています。 おもてなし精神は、かつての豊富な労働力を前提に実現できていたものです。現在の人手不足の職場で、これまでのような質の高いサービスを提供しようとすると、どうしても無理なかたちで1人にかかる負担が増えていくことになります。個人のレベルではすぐには改善できない構造的な問題が、職場の名もなきフォローという現象を生んでいるのです。 余裕のない職場、人のフォローがしんどくなるような状況は、これから先も続いていく時代の潮流といっていいでしょう。
佐藤恵美(メンタルサポート&コンサル沖縄代表)