大阪ブルテオンが取り組んだ経営陣とファンを繋げる場 事業や経営も理解してもらいたいという思い
事業面で特に重点を置くのは観戦体験の向上
事業面での説明を担当したのが笹木副代表。パナソニックの東京オリンピック・パラリンピック推進本部スポーツ事業推進部部長として東京オリパラに関わったり、ガンバ大阪で事業回りを担当した。笹川副代表は、事業担当ではあるが金儲けが目的ではないとした。 「我々の目的は世界ナンバー1のクラブになること。収益をクラブに積み上げるということは決して目的ではありません。(収益は)クラブの価値を正しく表現して、結果として出るもの。まずは『価値の源泉となるトップチームの強化』、そして新たな重点取り組みして『アカデミーの充実』、『練習設備の整備など強化部門への投資』、同時に『皆さまにより良い観戦体験を届けられる投資』を進める。それらのサイクルを回して、将来的に自分たちで継続していけるクラブとなること。それが我々の事業の目的となります。キーワードは『ローカルとグローバル』、『地域と世界』となります」 大阪ブルテオンは昨シーズン、ホームアリーナでの開催16試合全てのチケットが完売し、主催試合合計で5万6千人を超える観客数を記録した。ファンクラブ会員数も大きく伸び、SNSのフォロワー数がInstagramや YouTubeでリーグ1位となっているという。これらは「我々が重要な指標としている」(笹木副代表)とし、コーチングスタッフや選手達にも共有している。 そして、集客につながる1番の場である観戦体験の強化や改善に取り組んでいる。その一例として、アリーナ内に設置されたLED標識を挙げた。 「まずは最高の観戦体験のご提供。このパナソニックアリーナでは新規でLED標識をステージ上に設置しているが、開幕戦までに両エンド方向にも新設し、試合の臨場感を高める」 この数年、プロ野球、Jリーグ、バスケBリーグの試合が行われているスタジアムやアリーナでは、LED標識が設置し、演出利用が増えている。SVリーグにおいて、大阪ブルテオンはこういった演出にも取り組んでいく。 一方で観戦体験においてストレスにつながる現状の課題の改善にも取り組むという。 「ホームアリーナのトイレでの混雑に関し、本日も本当に皆さまにご迷惑をおかけしております。大変申し訳ございません」 そう謝罪の弁を述べると、久保田代表と南部GMと3人揃って、四方のファンに頭を下げた。大阪ブルテオンはリーグ屈指の人気チームで毎試合3000人が集まる。そして割合の多い女性ファンが、試合前、セット間にトイレへ殺到して長蛇の列をなす光景はすでに恒例となっている。これまでも外に仮設トイレを設置して対策しているが、それでもまだ解決しきれていない。 「建築から60年がたつ施設で抜本的な対策というのは難しいのでございますが、来月のホーム開幕戦から、仮設トイレを昨年よりさらに追加のブースをつけて対応してまいります」(笹木副代表) また人気チームならではの悩みが、ファンがチケットを入手しづらいこと。毎試合完売ということは、逆にいうと、チケットを買えずに涙を飲んだファンも大多数いるということ。 SNS上では不平不満が飛び交ったり、転売屋が暗躍したりするなど、大きな問題となっている。 「チケットの入手が困難というご指摘もございまして、このシーズンは昨年使用したおおきにアリーナ舞洲のホームゲームに加え、Asueアリーナでも開催することで対応します」 ホームアリーナでは無いので開催試合数は少ないが、キャパの大きいアリーナを利用することで、当面はチケット問題に対応する。 一方で、昨シーズン初めて開催したおおきにアリーナでの試合で、ある問題が発生していた。舞洲という場所が交通の便が悪いのだ。同アリーナはバスケBリーグの大阪エヴェッサがホームアリーナとして使用しているが、長年使用しているだけに、エヴェッサのファンたちは自動車での来場が多く、またチーム側で有料の臨時バスを出して対応している。 大阪ブルテオンのファンにそんな知見があるはずもなく、ただでさえ通常の運行便が少ないこともあって、冬の寒い時期にファンが長蛇の列をなしてバスを待つ羽目となった。その件も当然把握しているとあって、笹木副代表はお詫びと対策を説明した。 「大変なご苦労をおかけしてしまいました。事前に大阪エヴェッサ様と連携して、我々も新たに輸送対策専任者を任命して必ず改善を図りたい」 問題が起こった時にホームページ上、SNSの公式アカウント上で謝罪文を出しても、大抵のケースでファンの怒りは鎮まらない。ただ、今回の会見の様に、立場のあるフロントスタッフが直接ファンたちに語りかける意味は大きい。信頼感や期待感など、ポジティブな印象を持ったファンは多いのではないだろうか。