両親が亡くなり家や車を相続したのですが、現金がなく「相続税」を支払えません。よい対処法はないのでしょうか?
親や親せきが亡くなると、財産を相続することになります。相続した財産の金額によっては、相続税の納付が必要です。しかし、人によっては不動産など物的財産の相続をした結果、相続税が高額になり納税できないケースもあるでしょう。 相続税の納付ができないときは、制度を活用することも選択肢の一つです。今回は、相続税が支払えないときに利用できる制度についてご紹介します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
相続税を支払えないときはどうすればいい?
相続税は、相続した財産すべてが対象となるため、亡くなった方の現金が少なくても、持ち家や自動車があれば税額が高くなる可能性はあります。基本的には一括で支払いが必要ですが、現金がないといった理由で相続税を支払えないときは、延納や物納制度が利用できないか税務署に相談しましょう。 ■延納する 相続税の延納制度では事前に申請をすることで、本来の納期限日よりもあとに期限をずらして、年払いで納付できます。ただし、延納が適用されるためには、相続税額が10万円を超えていて、かつ、納付が難しい理由があること、また納付が難しい金額の範囲であることが条件です。 さらに、相続税額が100万円を超えており、延納期間も3年を超える場合は担保を提供する必要があります。国税庁によると、担保として提供できる財産は以下の通りです。 ●国債および地方債 ●社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの ●土地 ●建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの ●鉄道財団、工場財団など ●税務署長が確実と認める保証人の保証 なお、延納を利用すると「利子税」も課されます。利子税の割合は、期限を延ばした期間や相続した不動産の割合に応じて変動し、1.2~6.0%です。 ■物納する 延納制度を利用しても相続税を納税できないときは、物納制度を利用し、現金の代わりに相続財産の一部を使用して相続税の支払いができるようです。以下では、国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4214相続税の物納」を基に物納の要件に該当するものをご紹介します。 ●延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。 ●物納申請財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、日本国内に所在する次に掲げる財産および順位(1から5の順)となること。 <第1順位> 1.不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等 2.不動産および上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの <第2順位> 3.非上場株式等 4.非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの <第3順位> 5.動産 物納できる財産とできない財産は条件が細かく決められているため、物納できるか分からないときはまずは税務署に相談してみましょう。