【このままでは太陽光パネルの二の舞に】EV覇権を狙う中国の大戦略、もう「安かろう悪かろう」ではないその実態とは?
欧州市場で台頭する中国製自動車
米国の中国製EVへの100%課税案(【貧乏人はガソリン車に乗れ】これでは学校にも、職場にも行けない!車社会アメリカの現実と未来、EVはどうなる? Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン) (ismedia.jp))に続き、EUも暫定的とは言え、現在の10%からの増税に踏み切ったのは、中国政府による補助金に加え、欧州市場における中国製EVの好調な売れ行きが警戒されているためだ。 2019年に中国は約25万台のEVを輸出したが、南アジア市場に8割以上が供給されており、バングラデシュが最大の市場だった。欧州市場向けはオランダの6300台が目立つ程度だ。 20年からのコロナ禍による自動車の販売低迷を打開するため、欧州主要国は脱炭素支援もありEV購入に関する大型補助金を導入し、20年からプラグインハイブリッド(PHEV)とBEVの販売台数とシェアは大きく増え始めた(図-1)。 しかし、ドイツでの昨年末でのEV購入補助金の打ち切り、台数増との比較では進まない充電ポイント整備により高価格のEVの販売には欧州では陰りが出てきている。今年第1四半期の販売シェアは、対前年同期比では若干のプラスだが、対前年比ではマイナスだ。 BEVのシェアは、前年の14.6%から12%、PHEVは7.7%から7.4%に落ち込んだ。一方、ハイブリッド(HV)のシェアは25.8%から28.9%に伸びている。 欧州内の中国製EVの販売は減速しているが、昨年までは順調に伸びていた。図-2がEUにおける上位の自動車輸入国の販売台数の推移を示しているが、EVを中心に中国製自動車の輸入台数は大きく伸びた。 2020年に17万台に届かなかった輸入台数は、23年に70万台を超えた。EUにおける輸入国第一位に踊り出ている(図-2)。
中国製EVの輸入台数は23年に43万8000台に達し、欧州自動車工業会によると、欧州内のEVに占めるシェアは20年の2.9%から21.7%に拡大している。中国ブランド車のシェアは7.6%であり、残りは中国製の欧米ブランド車だ。暫定税率が適用されなければ、今年のシェアは25%に届くと予想されていた。