103万円の壁を巡る“攻防”で「財務省が置き去りに…」 国民民主党の主張と財務省の懸念 エコノミスト末廣徹氏「玉木さんが損しない構図」
財務省の懸念は、主に財源の問題だ。仮に国債発行で賄った場合、「減税で今の世代はもしかしたらいい思いをするかもしれないが、その負担を将来世代に先送りしているだけ」という指摘がある。 また、103万円の壁の解消だけでは、106万円と130万円の壁による手取りの減少が残ってしまう。本当に働き控えを解消したいのであれば、社会保険料の部分も含めた議論が必要だが、それは税制ではなく厚生労働省の管轄となる。 末廣: 178万円というのも、壁の問題なのか、所得減税をたくさんしたいのか、そこの切り分けはよくわからない。細かい壁を取り除いてもっと労働者が働く時間を増やして人手不足の問題を解決したいのか、178万円まで上げればかなりの所得減税になるので、それで経済対策、景気を良くしたいのかというのも見えてこないので。とりあえず何か球を投げたという印象になっちゃいますよね。国民民主党が球を投げて、どこまでやれんだという問いかけをしていると。 ■国民民主党が「損をしない」構図に 一方、JNNの最新の世論調査では、石破内閣の支持率は12.7ポイント下落して4割を切って38.9%に。国民民主党の支持率は9.1%で前回より7.6ポイントも上昇している。さらに103万円の壁を178万円に引き上げることについて賛成が66%だ。 佐藤: 103万円の壁と、それを超えるための大減税がどれほど国の財政に影響を与えるのかというところまでまだ理解が浸透してないというような気もしますが、「大減税」というと基本的にみんな嬉しいわけですよね。 末廣: 壁を取り除くっていうのはちょっと前にやったリスキリングみたいな。みんなにとっていいことだよねと思うことが多いケースなので、政策の作り方としてはうまくやってるなという感じですね。あとはこの案をどこまで飲むか。検討をしますとか、前向きにやっていきましょうぐらいまではいけるかなと思うんですけど、来年度からいきなりというわけにはいかないと思うんですね、スケジュール的に。