103万円の壁を巡る“攻防”で「財務省が置き去りに…」 国民民主党の主張と財務省の懸念 エコノミスト末廣徹氏「玉木さんが損しない構図」
国民民主党が主張する「103万円の壁」の引き上げについて、財務省内では慎重な意見が多いようだ。大規模な減税による財源不足や、将来世代への負担の先送りなどが懸念材料として挙げられている。103万円の壁を巡る国民民主党と自民党の“攻防”、そして税制と予算を担う財務省はどう動くのか、大和証券チーフエコノミストの末廣徹氏とTBS経済部の佐藤祥太デスク、出野陽佳記者が読み解く。 【動画でみる】玉木氏が狙うのは“大減税”?「財務省は置き去りだ」担当記者が目撃した「103万円の壁」をめぐる攻防 ■「財務省のことなんて眼中にない」 国民民主党の玉木雄一郎代表は、103万円の壁を178万円まで引き上げることを主張している。しかし、財務省内では、この提案に対して慎重な意見が多いという。 佐藤: 林官房長官も会見で、これは7、8兆円の減税になると言って、懸念ということではないですが「ちょっとやりたいことの大きさをわかってますか」みたいなトーンでした。出野さんは財務省の幹部をいろいろ取材していますけど、基本的にはややネガティブですか? 出野: そうですね。7、8兆円は国と地方分合わせての規模ということですが、それだけ歳入の部分で大きな穴が開くということなので、結構慎重なトーンですね。 佐藤: そうした流れのなかで玉木さんが週末「恒久的な措置としてやりたい、この年末の税制改正に入れてもらいたい」というふうにいいまして、これは財務省としてはボディーブローというか…。 出野: 減税というと記憶に新しいのは定額減税の1人当たり4万円減らすというのが最近あったと思うのですが、あの時はあくまで1回きり。税金だと3.3兆円ぐらいの規模でしたが、今回は7、8兆円もの規模で、しかも恒久的な措置となると、これはけっこう財務省としては渋いと。 与党でもなく、野党の第一党というわけでもない国民民主党の主張をどこまで飲むのか。財務省内では葛藤も…。 出野: どうしてそこまで、あるいはどこまで飲むべきなのかっていうことは、財務省の幹部からも漏れたりするところがあって。政治的に決まってしまう側面が大きいので、「財務省のことなんて眼中にないんですよ」というちょっと諦めの声みたいなのも。