<映画ドラえもん のび太の地球交響楽>「ドラえもん」で“音楽”を描く挑戦 のび太の「の」の音の誕生秘話 今井一暁監督に聞く
藤子・F・不二雄さんの人気マンガ「ドラえもん」の劇場版アニメ43作目となる最新作「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)」が3月1日に公開された。「映画ドラえもん」シリーズでは初めて「音楽」をテーマにした作品で、ドラえもんやのび太たちが交響楽(シンフォニー)で地球を救う大冒険を繰り広げる。同作を手がけた今井一暁監督は「『ドラえもん』で音楽を描くことはチャレンジでした」と語る。なぜ「音楽」をテーマにしたのか? 制作の裏側や作品に懸ける思いを聞いた。 【写真特集】「映画ドラえもん」初!「音楽」描く えんび服のドラえもんが可愛い! めくるめる音の世界 美しいカットを一挙に
◇「ドラえもん」で音楽を描かないのはもったいない
最新作は、ドラえもんたちが仲間と出会い、音楽を通じて心を通わせ、壮大な冒険を繰り広げる。学校の音楽会に向けて、苦手なリコーダーの練習をしているのび太の前に不思議な少女・ミッカが現れる。のび太が吹くのんびりのんきな「の」の音を気に入ったミッカは、音楽がエネルギーになる惑星で作られた音楽(ファーレ)の殿堂にドラえもんたちを招き入れる。ミッカは殿堂を救うため、一緒に演奏をする音楽の達人“ヴィルトゥオーゾ”を探しており、のび太たちは、ひみつ道具を使いながらミッカと共に演奏することで殿堂を復活させていく。しかし、世界から音楽を消してしまう不気味な生命体が地球に迫っていた……という展開。
今井監督は、「映画ドラえもん」シリーズ最高興行収入となる約53億7000万円を記録した「映画ドラえもん のび太の宝島」(2018年)、「映画ドラえもん のび太の新恐竜」(2020年)を手がけてきた。最新作の構想を練り始めたのは、新型コロナウイルス感染症の影響から「のび太の新恐竜」の公開が延期となった頃だった。
「『のび太の新恐竜』の公開が延期になって、いつ公開されるかも分からない。『こんなことがあるんだな』という思いでした。僕には小学5年生の息子がいるのですが、当時は小学校も休校になって、子供たちも家に居て『外に出るな』と言われていた。そんな状態でやはり子供たちには相当なストレスがかかっていたと思うんですよね。そんなある日、テレビを見ていたら、コンサートを開くことができない中、リモートで各演奏者をつないで、一つの曲を演奏するという番組をやっていたんです。子供がそれを見ながら、大きな声で歌っていたんです。息子は、家で大きな声で歌うようなことを今までしていなかったから『あっ!』と思って。その姿を見た時に『次、映画ドラえもんを担当させてもらうのであれば、『音楽』をやりたい』と思いました」