ドラマなのにインタビュー メタ演出が遊び心を感じる最終話<アンティーク~西洋骨董洋菓子店~>
ドラマの最終話というのは、そこまで描かれてきたストーリーの伏線回収や恋や事件の結末にどんな形で決着をつけていくのかという点で、とても注目される。その作品のファンになったならば、“見納め”というシンプルな期待からいっても視聴者の感情が高ぶるもの。現在FOD・TVerでは「#ドラ活 浸れ、超自分的ドラマ生活。」と題して、懐かしいドラマの数々が視聴できる。今月の配信作品のひとつ「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」(2001年、フジテレビ系)は、2025年1月8日(水)まで第1話が無料公開されており、順次、全話を無料配信中だ。最終回である第11話の内容を紹介する。(以下、ネタバレが含まれます) 【写真】「スカイキャッスル」で共演した小雪と松下奈緒の笑顔ショット ■クリスマス・イヴに多くの人でにぎわう洋菓子店 「アンティーク―」は、よしながふみ原作の実写化で、ケーキにまったく興味の無い超辛党のオーナー・橘(椎名桔平)と、不思議な雰囲気を持つなぞの天才パティシエ・小野(藤木直人)、そして元ボクサーで大のケーキ好きの店員・エイジ(滝沢秀明)の3人が営業する小さな洋菓子店「アンティーク」が舞台。彼ら3人(とお客たち)のハートフルコメディで、おいしそうなケーキと共に、毎回巻き起こるおかしなトラブルや心温まるストーリーを楽しむ作品である。 1月2日(木)から8日(水)まで無料配信される第11話「終わりなき旅」は、クリスマス・イヴの1日を描く。エイジ、橘、小野、千影(阿部寛)が働く「アンティーク」は大忙しで、フロアにはスポーツ紙の記者・桃子(小雪)も手伝いに来ている。店には逸子(小西真奈美)や波子(今井恵理)、トオル(長塚圭史)ら、これまでに来店した客も再来して賑わいをみせる。正太(えなりかずき)が珠美(眞鍋かおり)へついに愛を告白するなど、クリスマスで人々の気持ちは浮足立っていた。 エイジはケーキや飴細工作りの特訓を繰り返し、おいしいチョコやクリームを作れるパティシエへと近づく。何度も何度も、何時間も練習して「人の人生なんて終わりなき旅みたいなものなんだよね」とカメラ目線を送るエイジ。最終話はこの、登場人物たちが座ってカメラ目線で自分の気持ちやクリスマス・イヴに何が起きたのかを話していくスタイルが続く。 ■美味しそうなスイーツとMr.Childrenがたくさん味わえるドラマ エイジがつぶやいた「終わりなき旅」という表現は、もちろんこのドラマの全挿入歌を担当しているMr.Childrenの曲名を意識したセリフだろう。本作は毎話、何曲ものMr.Childrenのヒット曲が流れて、放送当時“ドラマまるごと、こんな形で音楽が使われることがあるのか”と世間を驚かせた。 最終話のインタビュー形式のシーンも、役柄を演じる出演者がカメラに向かって話しかけているようなメタ演出で、「アンティーク―」は物語以外でも視聴者を楽しませる要素が散りばめられているドラマだった。 結局、その全員のインタビューコメントをまとめた形で、スポーツ紙・記者の桃子が本を出版することに。それは第1話からずっと、パソコンのキーボードを打つ音と共に文字が映し出されていた演出の答え合わせとなった。桃子は「この物語はケーキと3人の男達の物語である」を千影を加えた「4人」に変えて「アンティーク」で起きた出来事を面白おかしくまとめたのだ。全話観終わると、1冊の本を読み終えたような、または小さな洋菓子がたくさん並んだ1皿を食べきったような感覚になる可愛らしい世界観のドラマだった。