マクラーレン・アルトゥーラ 詳細データテスト 改良されたエンジンとシャシー 冷静からやや情熱的に
結論 ★★★★★★★★★☆
スパイダーの登場で、アルトゥーラのパーソナリティは、ひとつではなくふたつは見直された。 まずはルーフの開閉、また、それに伴い採用された開閉式リアウインドウ。ドライビング体験に新たな次元を付け加え、フェラーリのようなハイピッチの唸りも、マセラティのようなしゃがれた叫びもないパワートレインに対する興味を高めてくれる。 すなわち、以前はあまりにもクールさや穏やかさ、おとなしさに過ぎたスーパーカーの個性をもっと解き放つのだが、同じことはシャシーの改修にも言える。改良型のハンドリングは刺激や熱さが増し、かつての570Sなどにちょっとだけ近づいた。 アルトゥーラにはフェラーリ296のような、リラックスして扱える軽快さやアジリティはない。しかし、値付けは賢明で、スター性に欠けるところはない。 ■担当テスターのアドバイス ◆リチャード・レーン クーペにあるリアデッキがないことは、使い勝手を少なからず低下させるが、それ以外の点でスパイダーは選ぶ価値がある。多少重く、実用性が落ちても、それを補って余りある個性の持ち主だ。 ◆マット・ソーンダース 新たなアルトゥーラは電子アーキテクチャーにイーサネットを使用し、改良前より配線を1/4減らした。重量を考えれば賢明な判断だ。また、V6ユニットの重量はたったの160kg。同等のサイズで220kgあるマセラティMC20のV6よりだいぶ軽い。 ■改善してほしいポイント ・570ほど歯切れのいいコーナリングではなかったのが残念だ。 ・Androidオートの起動と作動を早くしてほしい。 ・V6エンジンがあと500rpm回ってくれたらいいのに。
リチャード・レーン(執筆) マット・ソーンダース(執筆) マックス・エドレストン(撮影) 関耕一郎(翻訳)