バイデン大統領次男の醜聞が再燃…トランプによる「51人へ復讐」ののろしが上がった!
51人の不誠実
もちろん、声明に署名した51人は、当然、大きな責任を負っている。この人たちは、おそらく根拠のないままに、「NYポスト」のスクープの火消しに協力したのではないか。なぜなら、パソコンのデータには、「身元不明の女性と性行為をしながらクラックを吸っているように見える12分間の淫(みだ)らなビデオや、その他多数の性的画像が含まれていた」からである。こんな内容までロシアが捏造したというのは、「嘘」以外の何ものでもない。その凄まじさを知りたければ、2023年10月になって公表された「デーリー・メール」のスクープを観てほしい。ハンターの獣のような醜態がよくわかる。 おそらく51人は、米国で「エスタブリッシュメント」と呼ばれる既得権益層は自分たちの既得権を守るために、大した根拠もなく声明を出し、「NYポスト」のスクープの火消しに手を貸した。だからこそ、トランプは怒り、復讐をしようとしていることになる。 すでに、下院では、2023年1月10日、221対211の投票で、下院決議12号「司法委員会の特別調査小委員会として連邦政府の兵器化に関する特別小委員会を設置する」が可決された。そして同小委員会が「NYポスト」の記事の「信用を失墜させる」努力調査を開始している。 WPが今年11月14日付で報じたところでは、声明に署名したジョン・ブレナン元CIA長官は、「トランプはたしかに敵に対して報復を求めるだろうが、私は海外に脱出するつもりはない」という。しかし、「匿名を条件に取材に応じた別の署名者は、捜査が何ら進展しないとしても、懸念は捜査そのものにあるとして、欧州の国で市民権を申請している」との記述もある。
私的復讐の禁止
拙著『復讐としてのウクライナ戦争』(下の写真)のなかで、私は復讐・報復・制裁について考察したことがある。人はなぜ復讐という感情をもち、それを制御するための制度をどのように整備してきたかについても分析したものである。そんな私からみると、トランプの復讐心は理解できるものの、近代化の過程で、私的復讐が禁止されてきたことを考えると、どうにもやりきれない気持ちになる。 問題は、公的権力者やそうした立場にかつてあった者がディスインフォメーションを垂れ流し、民主主義の根幹を揺さぶっているにもかかわらず、非難さえしないという主要マスメディアとエスタブリッシュメントの間の共謀関係にある。トランプの復讐がエスタブリッシュメントへの攻撃にある以上、このアメリカの権力構造そのものを変革する必要があることを示している。この問題の根っこは深く、深刻なのである。 (出所)復讐としてのウクライナ戦争 戦争の政治哲学:それぞれの正義と復讐・報復・制裁 | 塩原俊彦 |本 | 通販 | Amazon
塩原 俊彦(評論家)