大阪「マスダさんちの昭和レトロ家電展ふたたび」開催中
大阪市立住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」(大阪市北区)で、懐かしい昭和期の家電商品を集めた「マスダさんちの昭和レトロ家電展ふたたび」が開催中だ。昭和家電研究家で同館の研究員を務める増田健一さんの昭和家電コレクションを展示。増田さんの講演会も開かれ、家電愛に満ちたトークに、会場は大いに盛り上がった。期間は2月11日まで。
昭和家電・商品とともに当時のカタログも展示
会場に一歩入ると、4本の脚があるテレビや、手で回す脱水用ハンドル付きの洗濯機などが目に飛び込み、シニア世代には懐かしさがこみあげてくる。 増田さんは昭和家電の現物商品やポスター、カタログなどを約2000点所有。こつこつと骨董店などを回って集め、働いて稼いだ家一軒分の購入費を注ぎ込んできた。今も多くのコレクションに囲まれて暮らしている。 会場には増田コレクションの一部を展示。昭和30年代、「三種の神器」と呼ばれたテレビ、洗濯機、冷蔵庫などの商品とともに、新商品の性能や魅力などをアピールするカタログ類にも光を当てた展示構成になっている。
作り手の勢いや熱さがこもる「カタログ」
このほど行われた増田さんの講演会のテーマは「カタログからみるワクワクレトロ家電」。増田さんは往時の家電メーカー関係者への取材を通じて、カタログ作成の背景に着目。テレビCMなどを外部のクリエイターに制作依頼する一方、カタログやチラシなどはメーカーの担当者自身がキャッチフレーズや文案を考えて制作していたという。 たとえば、冷蔵庫のカタログ。キャッチフレーズは「冷蔵庫一台でホームレストラン」。食卓にごちそうが並ぶホームパーティのワンシーンに、冷蔵庫がさりげなくもしっかり写し込まれている。増田さんは「娘さんは髪にリボンをし、胸にナプキンを付けている。やや大げさな表現になっているが、冷蔵庫が豊かな生活を実現するという作り手の気持ちがこもっている」と読み解く。 「風速20メートルの吸引力!」は掃除機のキャッチフレーズ。当時のヒット映画『風速40米』(日活)にあやかってのことらしい。 増田さんは「洗練されていたテレビCMに対し、カタログからは作り手の勢いや熱さがストレートに伝わってくる。作り手は消費者の要望があれば、新商品をどんどん開発しようと意気込んだ。残念ながらヒットしなかった商品もあったが、さまざまな商品がどんな社会背景から生まれたのかを考えてみるのも楽しい」と、昭和家電研究のダイゴ味を表現していた。講演会では珍しい電気缶切りの実演も披露された。