J1昇格を懸けたラスト1枠の戦い。千葉が挑む“5度目”の正直「より一層強いジェフを見せつける」
重くのしかかる決定力不足。思うようにいかないリーグ前半戦
そんな状況下の今シーズン、監督に就任したのはコーチ、ヘッドコーチを歴任した小林慶行だった。 新体制発表会の場で小林監督が語ったことの一つが「当たり前のことを当たり前にやる」ことだった。自らアクションを起こし、サッカーの基本を怠らず、プレーの質と強度を高めることを追求し続ける。そして、チームのメンバーやスタッフだけでなく、クラブ全体、ファンやサポーター、クラブを支援するスポンサーも含めて、“一体感”を持ってシーズンを戦っていくことを望んだ。 今季の千葉は前から連動してプレスをかけ、ラインブレイクを狙って攻める「攻守両面で前へ出る」というスタイルで戦った。開幕戦は大卒ルーキー・小森飛絢の得点で、V・ファーレン長崎に1-0で勝利。しかし、その後は決定機を作っても決めきれず、プレスをかわされて失点したり、スタミナが低下する後半に攻守でミスが出たりするなどして、第2節から第9節までの戦績は3分5敗。J3降格圏内の21位まで順位を落とした。京都サンガF.C.から育成型期限付き移籍で加入した田中和樹は「ゴールを決めなきゃ、決めなきゃって言っているうちにシーズンが終わってしまう」と、決定力不足についての切実な思いを語った。 衝撃的だったのは、今シーズン初めてJ2に昇格した藤枝MYFCとの第9節(1―3)。藤枝はチームとして磨き上げてきたパスワークで千葉のプレスをかわし、ゴールに迫って3得点を奪取。前からのプレスがうまくかからない時にどうすべきか。小林監督は体力の消耗が激しくなる夏場に向けて、前から厳しくプレスをかける守備だけでは厳しいと判断。状況によっては前から厳しくプレスをかけずに、ブロックを作って相手に間を通させないように堅く守る選択肢も模索し始めた。戦況によって守備のやり方を柔軟に変えながらも、小林監督が重要視して選手に求め続けたのは球際で負けないこと、競り合いで負けないことという“際”の勝負と、相手に隙を与えないことだった。 決定力不足はなかなか解消できないままだったが、守備は安定傾向となり、第15節でヴァンフォーレ甲府に1―Oで競り勝つと、第16節では高い得点力を誇る清水エスパルスを無失点に抑えて1-0。第17節も栃木SCに1-0。第15節からの3連勝で13位にまで順位を上げたが、第20節では水戸ホーリーホックを相手に、攻守でやるべきことをやりきれずに1-4の大敗。J2リーグ戦の前半戦のラストゲームである第21節は大分と1-1で引き分け、前半戦終了時点の順位は16位だった。