「大阪生まれの在日コリアン3世」が、韓国留学で気づいた「ソウルと東京」の意外な共通点
日本の塗り薬では対応できない乾燥した気候
改めて言うまでもないことだが、料理はやっぱり辛いものが多い。予想以上だった。肉料理の味付けにはとにかくトウガラシが使われている。 日本では、肉は塩コショウで味付けされていると思う。肉につける「下味」と言えば、それは塩コショウだろう。韓国ではその「下味」がトウガラシなのである。 そういえば、韓国人が日本に旅行したときによく口にする感想として、「日本の食べ物はしょっぱい」というのがある。これはまさに下味の違いを表しているのだと思う。日本の味で育った僕にとっては、「韓国はとにかくトウガラシが使われていて辛い」という感想になる。 韓国は気候が乾燥している。肌が乾燥するため、皮膚がかゆくなった。顔の荒れがひどくなった。寝ている間に掻いているようで、ピリピリした。日本から持ってきた薬を塗っても全く治らない。顔が真っ赤になった。 地下鉄に乗って、家の最寄り駅である安岩(アナム)駅から一駅。普門(ポムン)駅にある「サムソンプレンドゥ医院」に行った。ここは内科と皮膚科がある。 先生はいい人で「ステロイドを塗ったほうがいいですね。薬も飲んでください。かゆいから掻いてしまうのですよ」と話した。僕は韓国では保険に入っていない。保険なしで約2000円だった。安い。1階の薬局に行って薬をもらった。1週間分の飲み薬、塗り薬をもらった。日本でもらっていた薬では太刀打ちできなかったらしい。 顔のヒリヒリが続くのはしんどかった。韓国は日本よりもかなり乾燥している。日本は湿気が多い国なのだ。皮膚の乾燥には最後まで悩まされることになった。
日本のように「アメリカナイズ」されているソウル
グローバル都市となったソウルは大阪や東京と似ている。ただし、それはアメリカからの影響が強いという意味においてだ。ソウルでは、アメリカナイズされた人々の姿が印象に残った。 日本が韓国を植民地化したのは、1910年から45年までの36年間である。それよりも、1953年から現在までの米韓同盟のほうが2倍長い。現在のソウルで、日本の植民地時代の痕跡を見つけるのは難しい。それに比べて、アメリカの影響を見つけるのは簡単だ。そこかしこにある。 スターバックス、マクドナルド、バーガーキングがたち並ぶ資本主義の消費空間。若者はアイフォンを持ち、エアポッドを耳にさしてK-POPを聴いている。腕にはタトゥーが見える。手にはアイスアメリカーノ。好きな映画はスーパーヒーローが活躍するマーベル映画。週末は家族でショッピングモール。かなり単純な枠に当てはめているが、これがソウルで見た人々の生活様式だった。そこには「アメリカの影」が色濃かった。 一つずつ説明していこう。K-POPはアメリカのヒップホップ音楽からの影響が色濃い。そこに日本のアイドル文化が混ざって、さらに韓国的な感覚がミックスされているのが面白い点だ(金成玟『K-POP 新感覚のメディア』岩波新書、2018年)。 だが、一義的にはアメリカのヒップホップ音楽、つまり黒人文化からの影響が強い。