「THE HOPE 2024」から見えた傾向と展望 変わらないものと変わりゆくもの
顕著になったPeaceな空気
また、Unityだけでなく、ヒップホップに息づいてきたPeaceな空気が顕著になったのも今年の傾向だったように思う。昨年のTHE HOPE以降に起きたBAD HOPや舐達麻を巻き込んでの大きなビーフの収束、それらに代わって現れた千葉雄喜の「チーム友達」の大ヒット。彼が全世界に向けて友達とのUnityを歌ったという、そのピースフルなムードがフェス全体にも満ちていた。実際、ビーフの発端の一つとなったジャパニーズマゲニーズは、ステージ上で改めて謝罪。そういった背景もあり、ヒップホップが好きな者たち同士Unity&Peaceを再確認する場として、ポジティブな意味合いを強めていた。 他にも、観客をアカペラの技巧的なラップで挑発したR-指定(Creepy Nuts)や、兄妹で涙の共演を果たしたLEX&LANA、さらにXGのメンバーがサプライズ出演したAwichのステージなど、見所が満載だった今年のTHE HOPE。最後は、¥ellow Bucksが東海人脈を広く呼んでのパワフルなパフォーマンスで締めくくった。ヒップホップを取り巻く環境が激変する中で、こういった大型フェスは現行シーンの「今」を鮮やかにキャプチャしつつ、皆が一度立ち止まって大切なものを振り返る場としても機能しているように思う。変わらないものと変わりゆくもの、その双方を見守りながら流動的に形を変えていく――それがヒップホップだと、改めて感じた二日間だった。
tsuyachan