認知症患者は2050年までに米国で倍に…「脳と心臓」の健康を向上させる3つの習慣
認知症患者が昔より増えた気がしているなら、それは気のせいじゃない。 米国アルツハイマー病協会によると、現在65歳以上の米国人の650万人がアルツハイマー病に罹患しており、2050年までは1270万人に増加することが予測されている。その大きな理由は、心臓の健康状態にあるという。 【写真】「脳の健康」を維持させるために、知っておくべき5つのこと ここでは「脳と心臓」のつながりや機能を向上させる習慣などを、ウェイルコーネル医科大学院のファイルファミリー脳と心の研究所で所長を務めるコンスタンティーノ・イアデコラ医学博士と国立神経疾患・脳卒中研究所のシニア研究員で、脳卒中部門の所長を務めるレベッカ・ゴッテスマン博士が解説します。
心臓と脳の密接なつながりとは?
では、恐ろしい統計からみてみよう。米国疾病予防管理センターによると、私たちの約半数は、既に心臓病の3大リスク要因(高血圧、高コレステロール、喫煙)を1つから複数抱えている。これらが一体、脳にどんな影響を与えるんだろう?
動脈の詰まりが脳卒中を引き起こす
通常、健康な動脈は弾力性があり、血液は自由に流れることができる。でも、動脈が硬化すると心臓はより強い力で血液を押し出さなくてはならなくなるため、血圧が上昇する(別名、高血圧症)。もし、脳に血液を供給する血管が完全に塞がって血液が通過できなくなると、それが脳卒中の引き金となり、脳細胞が餓死する可能性がある。
心臓の健康状態が悪いと、認知症の発症につながる
動脈の詰まりや損傷、心臓機能弱化によって脳に十分な血液が供給されなくなると、認知症を引き起こすことがある。「脳が十分な血液を得られなくなると、認知機能は毎分損なわれていきます」とイアデコラ博士。心血管の健康がよくなると、認知機能も向上する。 影響を受ける脳の領域によっては、計算に時間がかかるようになったり、複雑な選択に直面すると意思決定ができなくなってしまうそう。血管の問題は、アルツハイマー病の発生にも寄与する可能性がある。
血流は、パーキンソン病の発症に影響を及ぼす
筋肉の動きを制御する能力を失い、硬直、振戦を特徴とするパーキンソン病はさまざまな原因で引き起こるが、イアデコラ博士いわく「筋肉の強調運動や姿勢、歩行能力を支える脳領域への血流不足が原因で発症する場合もある」