【解説】油なぜ漏れた? 考えられることは… 高速ジェット船一時漂流 乗客乗員121人、体調不良者も
■油漏れでかじきかず どのあたりで?
鈴江キャスター 「今回のジェット船、どのあたりから操縦ができなくなったと考えられるでしょうか」 東海大学海洋学部 山田吉彦教授 「おそらく東京湾の浦賀水道を出るあたりから操縦がうまくいかなくなったのではないかと考えられます。おそらくかじがきかなくなったのは、本来のコースを逸脱しているところ。そのあたりから、直進するような動きしかとれなくなったのではないかと思います」
■油が漏れたのは船のどの部分から?
森圭介キャスター 「『油が漏れて、かじがきかなくなった』ということですが、どこの油が漏れたと考えられますか?」 東海大学海洋学部 山田吉彦教授 「これは、燃料の油ではなく、おそらく油圧系統…この船、油圧を使ってかじを動かしたり、エンジンへの指示を出すような動きになっています」 「かじを動かす信号を操舵室から送る、それを途中で増幅していくシステムの中の油が漏れてしまったのだと思います。そのために制御がきかなくなってしまった。車のパワーステアリングで、ハンドルからタイヤに回る間の仕組みが壊れてしまったのと同じようなかたちで、全くコントロールがきかない状態になっていたと思います」 森キャスター 「力を伝える機関が壊れてしまったということですね」
■油なぜ漏れた? 考えられることは…
桐谷美玲キャスター 「油が漏れた原因はどのようなことが考えられますか?」 東海大学海洋学部 山田吉彦教授 「おそらく点検はしっかりしていても、この船、かなり古いです。造ってから44年たっている船で、途中補修もしていますが、どうしても経年劣化で、なかなか気付かない傷やゆがみが出ていた…あるいはひずみが中に出ていた可能性があります。それが高速走行に入った段階で、限界を超えてしまったということが考えられます」
■今回のような事故 珍しいこと?
鈴江キャスター 「経年劣化の指摘がありましたが、このような事故は珍しいことなのでしょうか?」 東海大学海洋学部 山田吉彦教授 「はい。特に高速船の場合は、私は初めて聞いたに近い事故です。この船、常に油圧系統など、飛行機並みのチェックをしています。ただ、その厳しいチェックのなかでも、少し古くなり弱くなっていた部分、あるいは金属疲労というのに気付かなかった可能性はあります」 鈴江キャスター 「出港前の点検では異常はなかったとのことですが、このような事故が起こってしまったということです。ここまで山田吉彦教授にお話をうかがいました」 (7月24日午後5時ごろ放送 「news every.」より)