シリア軍、反体制派に反撃強める 親イラン組織が政権支援で激化必至
シリアのアサド政権は1日、ロシア軍とともに北部の主要都市アレッポや北西部イドリブで反体制派に対して激しい空爆を実施した。ロイター通信などが報じた。1日夜から2日にかけては隣国イラクから親イラン武装組織がアサド政権を支援するためにシリア入りしたという。反体制派はアレッポの大部分を制圧するなど大規模な攻勢に出ているが、政権側が反撃を強めており、戦闘が激化するのは必至だ。 中東ではパレスチナ自治区ガザ地区、レバノン、イランなど各地で交戦が起き、シリア情勢により混迷に拍車がかかる恐れがある。 報道によると、イドリブでは中心部の住宅地が空爆され、少なくとも7人が死亡、数十人が負傷した。反体制派は国際テロ組織アルカイダ系の過激派組織「ヌスラ戦線」を前身とする「ハヤト・タハリール・シャム」(HTS)が主導し、アレッポでは国際空港や中心部などを掌握したとされる。中部ハマに向けても進攻したが、ハマ北部で政府軍が押し返したという。 シリアのアサド大統領は1日、「テロリストに立ち向かい、安定と領土一体性を守る」と語った。在英民間団体「シリア人権観測所」によると、反体制派が攻勢を強めた11月27日以降、双方で民間人を含め446人が死亡した。 一方、イスラエルのネタニヤフ首相は1日、「シリアの動向を注視している」と述べた。イスラエルメディアによると、反体制派の攻撃でアサド政権を支援するイランの軍事インフラも打撃を受けたことなどから、イスラエルは短期的には自国にとって有利とみている。レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラもアサド政権への支援に追われる可能性があり、ヒズボラがイスラエルとの停戦合意を順守する可能性が高まるとみられている。 ただシリアでイランの軍事支援が強まったり、イスラム過激派が伸長したりすれば、国境沿いで緊張が高まる恐れもある。【カイロ金子淳、エルサレム松岡大地】