「チームとしての夢を叶えることで、個人の夢も叶った」FC町田ゼルビア稲葉修土と夢の伝道師が語る『夢を掴む人の共通点』
夢は成長とともに具体的になる
この対談は「夢に関する5つの質問」にそれぞれがYES・NOで答える形式からスタートしたが、「『夢は成長とともに具体的になる』。この質問だけは最後まで悩んだ」と稲葉が言うように、ここでは両者の思考がはっきり浮かび上がった。 稲葉:夢は、遠くにあるものだというイメージが強いです。5歳から大学生まで、僕の夢はずっと「サッカー選手になること」でした。シンガポールでプロサッカー選手の夢をかなえた後、「次はJリーグにいきたい」という夢が出てきて、「J3にいきたい」「J2にいきたい」とステップアップしてきました。人生の中で一番大きな夢をずっと追いかけているというよりは、あれもこれもといったいろんな夢が湧いてきます。夢をかなえた瞬間はうれしさを感じるのですが、また次の夢をかなえるために新たな気持ちで向かっていくんです。この捉え方でいくと、“NO”なのかなと。 西岡:稲葉さんの話を聞いて、それは夢が具体的になる前にかなえることができている証拠だと思いました。僕が“YES”と答えた理由は、夢に向かって実行するたびにその夢の解像度が上がっていくというイメージです。「海外で店を出したい」と常々夢を語っている時も、最初はハワイに店を出すつもりで視察にも行きましたが、心が躍らなくて。結果的に一番心が躍ったボストンに店を出したという経緯です。稲葉さんはシンガポールに行った時、ワクワクしましたか? 稲葉:実際ワクワクしましたね、その時は。 西岡:そのワクワクが夢を具体的にしていったからこそ、着実にかなえてこられたんですね。 立正大淞南高校で選手権に2度出場、大学も名門・福岡大学に進み着実にプロへの階段を登っていった稲葉だが、Jクラブからオファーが届かず、一時は内定先への就職を考えていたという。そこで舞い降りた、シンガポールでプロになるという道。大学卒業と同時に単身シンガポールに渡るという決断も、「日本でプロになるため」ではなく、「大好きなサッカーを続けたい」という目の前の夢をまずはかなえたかったからなのかもしれない。