「全国放送もあるんだぞ!」ヤクルト2位指名ドラフト裏側に密着…モイセエフ・ニキータを“高校屈指のスラッガー”に育てたロシア出身の父の言葉
高校入学で「体重20キロ増」
愛知県刈谷市で生まれたモイセエフが野球と出会ったのは小学1年生のころだった。極真空手の東海王者だった父セルゲイさんとともに空手を学び、組手の少年大会で優勝するほどの腕前だったが、兄イリヤさんの影響もあって次第に野球の面白さに惹かれていった。4年生で野球一本に絞ると決めて、硬式のクラブチームに入団する。 「チームスポーツが好きなんです。勝って仲間と喜んで、負けて一緒に悔しがる。それがやっぱり楽しかったですね」 豊川高校に入学した時点の体格は、178cm、66kg。15歳の細身の少年が「目標はプロ野球選手になることです」と宣言したとき、長谷川監督は「8割方、難しいだろうな」と思った。だが、モイセエフの情熱は指導者の想像を超えていた。 「入学した時点でそう話す選手は多いんですけど、実際にプロ注目の選手と対戦したり、レベルの高い野球を経験すると、いつのまにか目標が変わっているものなんです。でもニキータは、絶対にプロになってやる、という気持ちの強さがすごかった。一切ブレなかったですね」 非凡なバッティングセンスを持っていたが、1年時はやはりパワー不足が目についた。「本当にプロになりたいのなら、2年の春までに80kgに持っていこう」。新チームが発足した秋、長谷川監督の増量指令にモイセエフは全力の「食トレ」で応えた。大量の白米をかきこみ、プロテインを飲んではフィジカルを鍛え上げる毎日。80kgを超えて迎えた2年春の東海大会で、公式戦初ホームランを放った。岡崎市民球場の芝生席中段に突き刺さるサヨナラホームランだった。 増量はなおも継続し、高校入学時点から約20kgも体重が増えた。それでいて、現在の体脂肪率は9%。隆起した大胸筋や上腕の迫力はプロにも見劣りしない。 「食事を詰めこむのはキツかったといえばキツかったですけど、プロになるのが目標なので。体作りは絶対に必要なこと。体が大きくなったことで結果もついてきて、高卒でプロになれるかも、と現実的に思えるようになりました」
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