「全国放送もあるんだぞ!」ヤクルト2位指名ドラフト裏側に密着…モイセエフ・ニキータを“高校屈指のスラッガー”に育てたロシア出身の父の言葉
10月24日のドラフト会議で東京ヤクルトスワローズから2位指名を受けたモイセエフ・ニキータ(17歳/豊川高)。ロシア出身の両親を持つ高校球界屈指のスラッガーは、いかにして同校“27年ぶり”の指名を受けたのか。ドラフト前日から当日の豊川高校に密着した。《全2回の1回目/後編に続く》 【写真】「パパママ嬉しそう!」「幼い弟たち可愛すぎる…」モイセエフ・ニキータの“27年ぶり指名”に手作りの会見場が沸いた瞬間!家族愛を感じる写真に、「飛ばないバット第1号」となったセンバツホームランも。この記事の写真を見る。 ◆◆◆ ニキータ、まさかとは思うけど、明日そのカッターシャツで来るとかないよな? ドラフト前日の10月23日、豊川高校の野球部監督・長谷川裕記は晴れ舞台を控えた教え子にそう声をかけた。案の定、モイセエフ・ニキータはクリーニングしたシャツを用意していなかった。長谷川監督が笑う。 「明日指名にかかったら、全国放送もあるんだぞ、東海地方だけじゃないぞ、って。俺はスーツもシャツもぜんぶ新調したのに、本人は『ブレザーあるかな』とか言っていて(笑)。いますぐクリーニング屋さんにお願いしてこい、と。確認しておいてよかったですよ」 1993年生まれの青年監督にとって、教え子が「ドラフト有力候補」として当日を迎えるのは初めての経験だった。そればかりか、仮に指名されれば豊川高校からは森谷昭仁(元近鉄、楽天)以来、27年ぶりの高卒でのプロ入りだ。取材を打診した段階で、同野球部の山野井伸仁部長は「私どもにとっても初めての経験なので……。慣れないことばかりです」と話していた。 球団から調査書が届き、さまざまな媒体で上位候補にあげられても、「本当に指名されるのだろうか」という懸念は拭えない。長谷川監督が「正直、不安な気持ちもありますよ」と話すのも無理のないことだった。 では、当の本人はどうなのだろうか。ドラフトを翌日に控えたモイセエフが取材に応じてくれた。部室棟の一室で、雨が降りしきる無人のグラウンドを横目に見ながら、率直な心境を語る。 「僕はけっこう楽しみというか、ワクワクしてますね。友達からも『明日だな』って言われました(笑)。明日も普通に授業があるんですけど、ソワソワしちゃうと思います」 モイセエフにしても、「絶対に指名される」という確信があるわけではないだろう。ただ、182cm、87kgのがっちりとした体からは、不安を補ってあまりある期待がにじみ出ていた。
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