いつでもどこでも誰とでも 仲間が広がる「まわしよみ新聞」/福岡県福津市
「まわしよみ新聞」をご存じだろうか? 新聞さえあれば、いつでもどこでも、誰とでもできる。手軽さに加え、情報リテラシーやコミュニケーション能力が自然と身につくこともあり、じわじわと人気が広がっている。 【写真】ワイワイ、ガヤガヤ、まわしよみ
話題と時間を楽しく共有!
やり方は簡単だ。はさみを用意して、持ち寄った新聞に目を通し、気になった記事を切り抜く。その記事や写真を集まったメンバーに見せながら、選んだ理由や感想をざっくばらんに語り合う。 決して堅苦しいものではなく、仲間同士の気軽なおしゃべりのような感覚。編集長役の人が最後に意見を集約して、壁新聞にまとめる。近年は、教育現場や地域のサークル活動、企業の研修でも行われ、好評のようだ。
福岡県福津市の津屋崎地区にある交流スペース「みんなの縁側 王丸屋」では、毎週水曜の午前に、まわしよみ新聞の集まりを開いている。 築約140年の古民家にある土間のテーブルで2016年に始まった活動は、この10月で365回に達した。「7年半をかけて、ようやく1年分の壁新聞を完成させました」と、主宰する福井崇郎さん(35)も感慨深い様子だ。
どうして活動を始めたのだろうか? 縁あって福岡県糸島市から移り住んできた福井さん。地域の人たちと気軽におしゃべりをするきっかけが欲しかったという。 以前、糸島市でまちづくりに携わっていた時に、まわしよみ新聞に取り組んだ経験もあり、津屋崎でもさっそく試してみた。新聞と画用紙、のりとはさみがあれば始められる手軽さや、王丸屋が場所を快く提供してくれたことが後押しになった。 王丸屋は、通りに面したガラス越しに土間の様子が外からもうかがえ、「何しよると?」と声を掛けてくる通行人も。「おしゃべりして仲良くなりたい」――。そんな思いをもつ地域の人たちが、少しずつ参加するようになった。
「人生案内」みんなが識者に
11月半ばの水曜。飛び入り大歓迎という、まわしよみ新聞の活動をのぞいてみた。この日集まったのは、津屋崎に転居してきた人など35歳から57歳までの5人。陶芸家やゲームクリエイターなど顔ぶれは様々だ。 まずは各自が持ち寄った新聞を読み始める。読売新聞もあれば、西日本新聞、朝日新聞も。過去のものを含めて、原則どんな新聞を持ち込んでも自由だ。