あばれる君 家族連れを見るとよぎる小4の思い出。「僕は、自分のミニ四駆が走る姿をお父さんに見てほしかっただけだった」
総務省統計局が行った「令和2年 国勢調査」によると、「単独世帯」の割合は他世帯と比べ最も高く、2015年より14.8%も増加したそう。そのようななか、「一人暮らしのときは、家族の大切さなど考えたこともなかった」と話すのは、愛妻・ゆかちゃんと2人の息子「ちびれる君」たちと暮らすお笑い芸人・あばれる君。今回は、あばれる君の誠実でまっすぐな人柄があふれる初のエッセイ『自分は、家族なしでは生きていけません。』から、一部引用、再編集してお届けします。 【イラスト】家族で外食。動き回る2歳児にはひっさつiPad動画。これで1時間ほど確保。かき込む飯。団欒のひととき。 * * * * * * * ◆僕はお父さんに自分のミニ四駆が走る姿を一緒に見てほしかった。 週末は、お笑いステージで全国をまわることが多いです。 イオンタウンや複合施設にたくさんの子どもたちとその家族が客席で待ってくれています。 控え室からそのワクワクしている表情を覗き見ると、思わず涙が出てきます。自分でも思いますが感受性が豊かなのです。 小学4年生のころ、同い年の友達と週末に開かれるミニ四駆の大会によく出ていました。なじみのない隣町の子や大人もたくさん参加していました。 小さなコミュニティでもじもじしていた僕にとって、大会自体がとても華やかに見えました。 そんな中、一緒に親身になってミニ四駆を作ってくれる友達のお父さんがすごく羨ましく思えました。 大人がバックについていると技術も経済力も段違いで、その友達のミニ四駆はとても速かったのです。 思い切って、僕も父を週末のミニ四駆大会に誘いました。 なにも買ってもらえなくてもいいからとにかく、自分のマシンが走る姿を一緒に見てほしかったのです。
◆父の防衛本能 父は渋々着いてきてくれました。 父はいまいちミニ四駆大会になじめていません。口をぽかんと開けて放心状態みたいになっています。 これは父の癖です。人見知りが強く、知らない人がたくさんいる学校行事などでよくこの状態になっていました。 動かない「ASIMO」を想像してもらえればわかりやすいと思います。 たぬきが死んだふりをするように、これが父の防衛本能です。 息子の僕はたまったもんじゃありません。 僕は、「よし。このベアリングをつけてコースアウトを防ごう」とか、「ギアにグリスを塗ると速くなるんだった」とか独り言を父に聞こえるようにわざと大きな声で言いました。 ミニ四駆の醍醐味を必死に伝えようとしたのです。 まわりのお父さんと同じように一緒に作ってほしかったのです。 ミニ四駆のおもしろさを伝えることでこれからも父が見にきてくれるかもと期待したのです。
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