被り物で現れ、滑り台にジャンプしたブテリン氏「あなたはイーサリアムに何をもたらすのか?」と問いかけ──2025年も東京でEDCON開催
サッカー元日本代表・本田圭佑氏の基調講演でスタートしたイーサリアム開発カンファレンス「EDCON」のメインイベントの2日目が7月30日、1日目の代々木競技場・第二体育館から第一体育館に舞台を移して開催された。 東京オリンピックの会場にもなった第一体育館に入って驚かされたのは、広いアリーナが可愛らしいキャラクターのインフレータブル(空気で膨らませるディスプレイ)で埋め尽くされていたこと。本田氏の基調講演が行われた第二体育館にもEDCONのウェブサイトでキャラクターとして登場しているユニコーンの可愛らしいインフレーターがあったが、代々木競技場が遊園地になったかと思えるほどの数だった。 2日目の基調講演を行ったCy Li氏(Director of De University of Ethereum and Director of EDCON)と藤本真衣氏(NTMAX 共同創設者)は、会場を可愛いキャラクターで埋め尽くしたことについて、イーサリアムはこれからもオープンソースにこだわり、アイデアや創造性を大切にしていくという姿勢を表現したと説明した。 第一体育館のメインステージは、観客席の高さに合わせることを意識したのか、かなりの高さに作られていた。さらに前面には滑り台が設置されており、セッションの登壇者は終了後、滑り台を滑ってラーメン丼に飛び込んでいくという演出になっていた。 1日目に続いて、コミュニティ、ゲーム、ソーシャルなど幅広いテーマや、レイヤー2、インターオペラビリティ(相互接続性)などのテクニカルなテーマに関するセッションが行われた。 ラストのセッションでは、いよいよイーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏の登場となり、会場の熱気はさらに高まった。だが、壇上に登場したのは、ブテリン氏ではなく、インフレータブルの大きなキャラクターだった。 司会の2人は「どうやって上がってきたのか?」と不思議がっていたが、そんなことはお構いなしに壇上を歩くキャラクター。しばらくすると、中から馬のお面を被った浴衣姿の人物が現れた。観客席は、壇上の不思議な出来事を見守るしかなかったが、馬のお面を取って現れたのが、ブテリン氏だった。 浴衣姿のブテリン氏はその後、それまでの演出などまったく関係なかったかのように、いつもの独特のトーンで持ち時間の30分をしゃべり通した。 冒頭で、イーサリアムのメインネットが動き出した瞬間のこと、その当時はイーサリアム財団を含めて、開発者が100人くらいしかいなかったことを振り返り、この10年ではるかに大きく成長してきたイーサリアムについて「これからの10年、何がその方向性を決定していくのか?」と会場に投げかけた。そして「これからの10年、あなたはイーサリアムに何をもたらすのか?」と。 セッションでは、これまでの10年、そしてこれからの10年について、アプリケーション、UX、ガス代、レイヤー2、予測市場、ウォレットなど、さまざまな切り口で議論を展開した。 ブテリン氏のスピーチは、情報量が非常に多い。ブテリン氏の頭の中から、大量の情報が淀むことなく、流れ出てくるような印象を受けた。 そして、最後にブテリン氏は「今日、私は答えには踏み込んでいない。ここにいる皆さん、イーサリアムコミュニティの皆さんに、イーサリアムの未来をともに切り拓くプロセスに参加できるチャンスがある」と述べてセッションを締めくくった。 すると、司会の2人はブテリン氏にコメントをもらおうとしたのだが、ブテリン氏はいち早く、滑り台にジャンプし、ラーメン丼にダイブした。まさにすべてが「ブテリン・ワールド」だった。 ブテリン氏のセッションの後は、K-POPグループ「tripleS」のパフォーマンスと、グラミー賞のRACによるDJパフォーマンスが行われた。DJタイムには、アリーナの「Web3 Garden」が開放され、参加者は観客席から下りて、ダンスをしたり、可愛いインフレータブルと写真を撮るなど、楽しい時間を過ごしていた。 7月24日~30日まで、東京で開催されたイーサリアム開発カンファレンス「EDCON」。2017年にパリを皮切りに、2018年はトロント、2019年はシドニー、2年のオンライン開催を挟んで、2022年はサンフランシスコ、2023年はモンテネグロで開催され、2024年はアジアで初めて東京で開催された。 2日目の基調講演を行っCy Li氏と藤本真衣氏は、「続けていくことが最も大切」と語り、「2025年も東京での開催が決まった」と発表した。2年連続での開催は初めてのことだ。 来年は、ブテリン氏のどんな姿が見られるだろう。 |文・写真:増田隆幸
CoinDesk Japan 編集部