25年ぶりの大転換期! 2024年東京の高校野球”3つの見どころ”
帝京、日大三がノーシードで臨む春季大会
次にタイブレークへの対応だ。昨夏はタイブレークで二松学舎大附、関東一、東海大菅生など強豪校が相次いで敗れた。不利とみられていたチームは、強豪校相手に延長タイブレークに持ち込んだことで、精神的に勢いづいていることはあるだろう。したがって、前評判が高い方のチームは、早めに仕掛けてくる可能性がある。 秋季都大会の準々決勝の二松学舎大附ー日大二戦で、二松学舎大附は8回に4番の五十嵐 将斗外野手(2年)が安打で出塁すると、五十嵐に代走を送って勝負に出た。結果論としては、この回に得点できず、4番の強打者がベンチに下がったことで、延長12回には3番・片井が申告敬遠で歩かされ、得点できなかった。それでもタイブレークになる前に、早めに勝負を仕掛けてくることは、今後も増えるのではないか。 さらに今年最大の変数は、春季大会ではノーシードの強豪校が多いこと。したがって春の大会の組み合わせ次第では、強豪校が潰し合って夏はノーシードというケースも出てくる可能性がある。 帝京は、春は1次予選から戦わなければならいない。秋は1次予選で二松学舎大附に大敗したものの、西崎 桔平投手(2年)、奈良 飛雄馬内野手(2年)などを擁する帝京は、上位の実力があることは確かだ。むしろ9月17日に敗れてから、新基準のバットへの対応も含め、しっかり時間をかけてチームを作り、むしろ怖い存在になったのではないか。 夏の東西東京大会で優勝した共栄学園と日大三も、ノーシードからの挑戦になる。日体大荏原、佼成学園もノーシードだが、力のあるチームだ。それに桐朋も二刀流の森井 翔太郎(2年)の成長次第では上位校を食う可能性もある。 その他、國學院久我山、八王子、大森学園、堀越などは1次予選では大差で敗れているが、点差がそのまま実力差というわけではない。 秋は優勝した関東一と準優勝の創価がやや抜き出ていたが、他校も追い上げてくるに違いない。 気になるのは23年夏はシード校ゼロに終わった都立校の存在だ。秋も都立校は8強に残ることができなかった。 都立城東、都立小山台、都立日野、都立昭和、都立文京、都立片倉といった伝統的な都立の強豪校に加え、今年注目したいのは都立武蔵丘だ。近年着実に力をつけており、秋の1次予選で東亜学園を破ったことは、都立校としては最高の金星であった。 監督の顔ぶれもかなり変わり、新基準のバットが導入される2024年は、例年以上に混とんとしていると思う。23年の共栄学園に続き、新たな強豪が出現し、約四半世紀前のような戦国大会になるのか、それとも全国的に知られた強豪校が強さを発揮するのか、予想することはできない。それでも各校が互いに高め合い、質の高い好試合が多くあることを期待したい。