25年ぶりの大転換期! 2024年東京の高校野球”3つの見どころ”
新基準のバットの導入は関東一などに有利か?
まず、新基準のいわゆる低反発バットが導入される。使ってみた学校からは、「木のバットに近い」「野球が変わる」などの声も聞こえる。これから優勝などで結果を残したチームの野球が、新基準バット時代のスタンダードになり、高校野球が徐々に変わっていく可能性もある。 50年前に金属バットが導入されたとき、原辰徳前巨人監督が1年生だった東海大相模(神奈川)などは、バットを長く持って、パワフルな野球をしていたが、多くの学校は木製バット時代と同じようにバットを短く持って、コツコツと当てる打撃をしていた。フィジカルを鍛えて強く振る野球が定着するのは、82年に池田(徳島)が圧倒的なパワーで優勝してからだ。つまり金属バット導入から8年が過ぎている。 もっとも、今日では科学的な分析力が当時とは比較にならないほど進歩しており、もっと短い期間に、新基準バットでの戦い方が見えてくるのかもしれない。とはいえ、しばらくは試行錯誤が続くだろう。 それでも打球が減速するなど、新基準バットの特性を考えれば、足が使えて、守りが鍛えられているチームが有利と考えられる。秋季都大会優勝の関東一は、まさにそうした野球ができるチームだ。西東京では秋は3回戦で大敗したものの、国士舘もそうした野球ができるチームだ。また、国士舘野球の基礎を築いた永田昌弘氏が監督に就任した明星がどのようなチームに仕上がるかも注目される。 もっとも芯でしっかり捉えることができる打者は、新基準のバットになっても影響が比較的少ないのではないか。日本が国際大会に本格的に参加するようになった2012年のU‐18野球W杯では、当時花巻東(岩手)の大谷 翔平(現ドジャース)など、大半の打者が木製バットに苦しむ中、当時、大阪桐蔭(大阪)の2年生だった森 友哉捕手(現オリックス)は、最初から打ちまくっていた。 現在、東京のトップクラスの打者といえば、やはり二松学舎大附の片井 海斗内野手(2年)になる。本塁打のイメージが強い片井だが、逆らわない打撃で芯に当てるのもうまい。片井のような打者の場合、本塁打が多少減るかもしれないが、打撃成績全体としてはさほど影響を受けないのではないか。 日大三や東海大菅生といった本来打撃のチームが、新基準のバットにどう対応するか注目だ。