自民、国民民主「部分連合」の動きも年収の壁引き上げの財源、不信任案への対応で残る不安
自民、国民民主両党が「部分連合」に向けた動きを本格化させた。両党幹事長は31日に政策協議を開始する方針を確認し、今後は公明党を含めた3者で協議する見通しだ。とはいえ、石破茂内閣への不信任決議案が提出された場合の対応など与党にとっての不安要素は払拭されていない。 自民の森山裕幹事長と、国民民主の榛葉賀津也幹事長は31日、国会内で会談し、部分連合に向けた政策協議を始めることで一致した。森山氏は会談後、記者団に「税調や政調がそれぞれの分野で、協議していくことで合意ができた」と語った。会談は15分ほどで終わった。 会談が短時間だったことについて、国民民主幹部は「首相指名選挙の対応を確認しただけ。政策協議までには時間的な余裕がある」と話した。自民関係者は「根回しが十分できていたということだろう」と推測した。 自民は与党の衆院過半数割れを受け、水面下で国民民主との交渉を進めてきた。国民民主の玉木雄一郎代表も連携に前向きな姿勢を示し、衆院選で訴えた「手取りを増やす」政策の実現を目指す。 ただ、減税策には財源論が付きまとう。林芳正官房長官は「年収の壁」を178万円に引き上げた場合、国と地方で約7兆~8兆円の減収になると説明。自民の閣僚経験者は「減収が大きすぎて無理だ。何を財源にするのか」と疑問を呈す。 また、部分連合の枠組みにも不安が残る。自民は国民民主との常設の会議体を提案するが、国民民主は案件ごとの協議にこだわった。連立政権と異なり、与党側に新たな問題が発覚すれば、与党を追及する立場に早変わりする恐れがある。 自民重鎮は、部分連合について「乗り降り自由だ」と説明する一方、国民民主幹部は「常設の会議体はイコール閣外協力だ」と語り、与党と一定の距離を保つべきだとする。 玉木氏は31日、国会内で記者団に立憲民主党などが不信任決議案を提出した場合の対応を問われ、「まだ何も(成果を)取れていなし、何も始まってない。先のことについてのコメントは避けたい」と述べるにとどめた。(今仲信博、深津響)