【大河ドラマで注目】紫式部の天才的頭脳を支えた「食材」とは 現代にも活かせる平安時代の食生活
現在放送中の大河ドラマで注目が集まっている平安時代。紫式部や清少納言をはじめとした女流作家や随筆家、詩人たちが活躍した時代ですが、そんな人たち頭脳を支えたのが“平安時代の食生活”です。今回は、日本人の長寿食研究家である永山久夫氏の著書『紫式部ごはんで若返る 平安時代の食事は健康長寿食』(現代書林)から、現代にも生かせる平安時代の食文化を少しだけお届けします。 ◇ ◇ ◇
実は大好物だった!? 紫式部の天才脳を支えた「イワシ」
卓越した才能の持ち主は、食物を選ぶようです。ある種の食材には、才能をのばす効果があると、本能的に見抜いているのかもしれません。 『源氏物語』の作者として世界的に有名な紫式部は、イワシが大好物でした。イワシの丸干しを、こんがりと焼き、頭から食べるのです。
ところが、平安時代の貴族たちは、イワシは「いやし(賤し)」に通ずるといって、焼いている現場に出会ったりすると、着衣の袖で鼻をおさえ、悲鳴を上げて走り去って行くのです。「イワシの頭は、鴨の味」ということわざがありますが、ほどよく焼けたイワシの頭部は、確かに美味。脂が一番のっているのが頭部で、淡塩で干したものを焼いて食べると、さくさくとしていて、実にうまいのです。 美味な上に、イワシの脂質には記憶力や創作能力をパワーアップする上で効果のある必須脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)と、血液のめぐりをよくするサラサラ成分のEPA(エイコサペンタエン酸)がたっぷりなのです。 大まかにいうと、DHAは脳の回転をよくし、目、髪などを老化から守り、EPAは血行をよくして、血管とお肌の若返りに働く成分と覚えておくとよいでしょう。AI(人工知能)時代に直面している現代人にとっても、DHAとEPAは重要な成分であることに変わりはありません。
イワシの丸焼きは、紫式部にとっては大作を仕上げる上で欠かすことのできない「ブレーンフード(頭脳食)」だったのです。
イワシだけじゃない! 紫式部の才能を開花させた もうひとつのブレーンフード(頭脳食)とは
紫式部は、子供のころから驚くほどの暗誦能力を身につけていたようです。彼女は弟の惟規(のぶのり)が、父から漢文学を学ぶかたわらに同席させてもらっていましたが、弟は覚えが悪く、集中力も持続するのがつらそうです。彼女の方は、どのように難しい漢籍でも、スラスラと暗誦してしまうので、父は紫式部が男だったらよかったのにと嘆いていたと伝えられています。 紫式部は、成長するに従って、漢籍から物語類、仏書、歌集、歴史書と幅広い基礎知識を身につけていきます。彼女の学習能力の高さは生来のものですが、加えて、ふだんの食生活が、脳の活性化に役立っていました。 そのひとつが、前にも説明しましたが、好物の丸干しのイワシ。そして、彼女の頭脳食は、もうひとつありました。 それは大豆です。