<わたしたちと音楽 Vol.43>モヒニ・デイ より強く、共感性を持った音楽家になる決意
リスクを恐れず、自分のユニークさを受け入れること
――Billboard JAPANによる2023年の年間総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”では、男性による楽曲が64曲、女性が19曲、男女混合のデュオ/グループが16曲、性別を公表していないアーティストが1曲という結果でしたが、インドではどうでしょうか? モヒニ:インドも似たような割合だと言えるでしょう。もしかしたら男性の方が女性よりもっと多いかもしれません。女性アーティストはたくさんいますが、彼女たちのほとんどは自分で作曲をしませんし、ソングライター、作曲家、プロデューサー、アレンジャーのほとんどが男性です。 インドの音楽業界は、ボリウッド映画産業に支配されています。映画監督はほぼ男性なので、男性の音楽監督を雇い、その音楽監督が男性のアレンジャーやエンジニアを雇うといったことがずっと続いてきました。そのうち女性なのはおそらくシンガーと一部の演者のみだと思います。業界を変えるには、映画、アート、音楽、グラフィック・デザイン、アニメーションなどエンタテインメント界全体で、より女性が活躍していく必要があると思います。 この20年間、ヨーロッパやアメリカの映画や音楽において、女性やLGBTQ、少数派の人種の人々に多くの機会が与えられてきました。理由は、従来と異なるものを求める観客が存在し、企業はそれを提供するために投資しなければならなかったからです。日本やインドのオーディエンスが、映画や音楽界でより多くの女性に活躍してほしいと声を上げれば、企業はそれを実現しようとおのずと動くでしょう。草の根レベルと政治レベルで対処していくべきだと考えています。 ――現在は多くの女性アーティストのロールモデルとなったモヒニさんですが、キャリアを始めたばかりの自分にアドバイスをおくるとしたら? モヒニ:若い頃の自分にアドバイスできるとしたら、自分の直感を信じて情熱に忠実でいること。簡単な道のりではないし、困難もあると思うけれど、あなたの忍耐と献身がゴールへと導いてくれる。あなたとあなたの才能を信じてくれる人たちを周りに置くこと。リスクを恐れず、自分のユニークさを受け入れること。あなたの声と音楽には意味があり、人々をインスパイアできるんです。