「テキサス州の油田地帯」に活路を見出す自動運転スタートアップ
物流トラック向けの自動運転テクノロジーを開発するシリコンバレー企業、Kodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)は、より広範な商業運用に取り組むため、一般道に存在する標識や規制があまり問題にならない無人のオフロードに進出している。同社は、テキサス州の砂鉱山と油田を結ぶ私道での輸送の契約をAtlas Energy(アトラス・エナジー)と結び、業界初の試みを始動した。 「当社は、これまでの数年間で開発した技術を最大限に活かせる業界を探していた。ドライバーの雇用が困難な環境下で事業を行うアトラスは、自動運転の利点を理解しており、それを実際に必要としている」とコディアック創業者兼CEOのドン・バーネットは述べている。 コディアックの自動運転トラックは、2025年の初頭から石油が豊富なパーミアン盆地で、24時間体制で砂を運ぶことになる。同社とアトラスは既に無人のテスト走行を行っているが、財務的な詳細は明らかにしていない。「テストが順調に進み、ロボットトラックの配備台数が増えれば、収益は数百万ドル以上になると考えている」とバーネットは語った。 アトラスは、3交代制のシフトで人間のドライバーを雇用して、24時間体制で石油産業のために砂を運んでいる。そのため、その業務をロボットトラックに置き換えることはコスト面で大きなメリットをもたらすことになる。 ドライバー不足に直面する物流分野は、以前から自動運転テクノロジーの有望な導入先として考えられてきたが、その実現はさまざまな課題に直面した。TuSimple(トゥーシンプル)やEmbark(エンバーク)、Ike(アイク)、Starsky(スタースキー)などの企業は、投資家から巨額の資金を集めつつも、閉鎖されたり他社に買収され、アルファベット傘下のWaymo(ウェイモ)でさえもロボットトラックの計画を棚上げした。 そんな中、2018年以降に約1億7000万ドル(約240億円)を調達したコディアックは、アトラスとの新たな契約に加えて、国防総省から自律型の軍用車両の開発を依頼されている。「当社は、過去2年以上にわたり、米軍のロボット戦闘車両プログラムに取り組んでおり、非常に良好な結果を得ている」とバーネットは述べている。 2018年にコディアックを設立したバーネットは、グーグルの自動運転車プロジェクトに参加した後に、短命に終わったスタートアップのOtto(オット)でもロボットトラックの開発に携わっていた。 長年にわたり自動運転テクノロジーに取り組んできた彼は、このテクノロジーが良いビジネスになるための最良の道は、本当にニーズのある分野に注力することだと考えている。「この分野は、多くの逆風や不確実性に満ちており、ベンチャーキャピタルの支援を受けた企業も、いずれは困難に直面する。しかし、明確なニーズがある商業用途の自動運転は、乗用車よりも優れていると私は考える」とバーネットは語った。
Alan Ohnsman