「市民がだれでも講師」自主運営で200講座 長野・上田市でユニークな生涯学習
自分たちがつくりだす講座への市民の関心の高まりは受講生などの推移にもはっきり。前期と後期に分けて集計していた2005年度の受講生は前期347人、後期556人、翌06年度は通年度で741人でしたが、10年度には2160人へ急上昇。14年度は2718人に達しました。講座数も当初の50前後が2014年度は204講座に。講師も当初の50人前後から現在は100人態勢です。 講座は、なぎなた教室、フラダンス、ヨガ、茶道教室、お手玉教室、かご作り、パン作りや、「簿記に挑戦してみませんか」「藤沢周平に学ぶ」「筆跡から歴史上の人物像と時代背景を探る」「古典絵巻・絵本を読む」など多彩。プロに近い実績や長年の経験を反映した内容で、講座を10年続けている講師も10人近くいます。また、10年間受講を続けている人も40人以上に上り、同じ地域で先生と生徒の関係を持つきずなをうかがわせます。
塾生「学んだ英語で海外行きたい」
「誰でも先生」の実際の講座を見てみました。2月24日に上田市上野が丘公民館で開いた「楽しい蕎麦(そば)教室・初級」。講師は元農協職員でそば打ち20年、人に教えて14年の酒井佐平さん(60)。昨年から続いた講座のこの日の受講者は中高年の男女8人。「どんなに腕が良くてもそば粉が良い状態でなければだめだね」「そばの太さは1~1・2ミリぐらいがうまい。あまり細くしないように」などと話す酒井さんの指導で懸命にそば粉をこねます。慎重に打って、包丁で切る場面では思わず汗がにじみ、手が震えるほどの緊張も。 参加した男性は「自宅でそばを打って家族に喜んでもらえるのがいいね。昨年末は年越し用に冷蔵庫から出したそば粉をすぐ打ったらバラバラになって失敗。常温に戻す手間を忘れていました。2回目は成功したよ」とうれしそうでした。
2月17日に上田市大手町自治会館で開いた「やりなおし基礎英語」の講座は、若い女性から中高年の男女まで14人が受講。英検1級で長野県の通訳案内士の資格を持つ講師の永島千絵さんは、1日にクラス別に5講座を持つほどで、事務局によると英語講座の人気は高いといいます。 受講した経営コンサルタントの男性(73)は「記憶力は落ちたが、理解力は年齢とともに高まっているので、講座が新鮮です。そのうち海外に行ってみたいですね」と話していました。