「大人女子」代表の小泉今日子が大切にし続けた<少女心>とは。「微妙なお年頃の30代」から「ツヤっと輝く40代」に回復するまで
◆新しい舞台『InRed』 ファッション誌の萌芽期である70年代から日本のファッションをリードし続けてきたマガジンハウスの雑誌は、2000年代に入って、『ku:nel(クウネル)』などのライフスタイル誌に軸足を移し始めていた。 『アンアン』もしだいにファッションのテーマが減少し、内容的にも先鋭的ではなくなっていく。「パンダのan・an」の頃とは様変わりしたのだ。代わって台頭してきた宝島社のファッション誌が小泉今日子の新しい舞台となった。 2003年に創刊された『InRed』は、「30代女子」をコンセプトに、未婚既婚にとらわれない新しい女性像を打ち出した。当時30代半ばの小泉今日子を表紙モデルに起用し、ビジュアル的にも今までにない30代女性のファッション誌を標榜していく。 半年間『InRed』の表紙とファッションページもやらせていただきました。最初はね、自信がなかったの。コンサバ系でもマダム系でもキャリア系でもない30代女性が読む雑誌。若い頃はクラブとかでガンガン遊んでたような30代女性が納得できるファッション。最初に『InRed』の話を聞いた時の私の解釈はそんな感じ。 (『小泉今日子の半径100m』62─63) この『InRed』でも小泉今日子はイメージモデルだけでなく、創刊から約3年にわたってエッセイを連載することになった(2003年3月号~2006年2月号)。 「小泉今日子の半径100m」と名付けられた文章と写真は、言わば、続「パンダのan・an」であり、アラフォー世代となった彼女の身辺雑記となっている。 後半は読書委員を引き受けた時期とも重なっているが、読売新聞の書評が内省的で文学的な心情吐露になっているのに対し、こちらは「大人の乙女ゴコロ炸裂!のフォト&エッセイ」(『小泉今日子の半径100m』の帯文)とあるように、「パンダのan・an」の仲の良い女友達への近況報告といったスタイルを踏襲している。