育成選手制度の10年、そしてその改善点とは?
育成選手制度 各チームの状況は
NPBでは育成選手制度と呼ばれる選手契約に関する仕組みが存在する。この制度は、入団時点では技術が一軍の試合に出場するレベルにない選手を、支配下選手ではない形でチームに所属させることができるようにすることで、野球の裾野を広げ、将来有望な選手を「育成」するということを目的として2005年オフに導入された制度だ。 今シーズンは育成選手制度が導入されてから節目の10年目のシーズンにあたる。そこで今回はこの制度がどのように活用されてきたのか、そして今後に向けて改善すべき点はないのか、という点について検証を行っていきたい。 まずは2006年以降の育成選手の数の推移についてご覧いただきたい。表1は2006年以降、育成選手として登録された選手の数をチーム別にまとめたものである。13人でスタートした初年度から年々その数は増え、2012年には100人を突破した。その後は若干数を減らし今シーズンは現時点で80人の選手が育成選手として登録されている。 初年度に制度を利用したのは、巨人、ソフトバンク、広島、中日の4球団だけだったが、翌年からは楽天、オリックス、ロッテも参加。3年目には西武、日本ハムを除く10チームが利用と順調に制度が活用されていった。そして西武も2012年に初めて育成選手を登録、現在は日本ハムを除く全チームが育成選手を登録しており、制度の利用拡大という点では十分な成功を収めているといえそうだ。 チーム別では巨人が初年度からほとんどのシーズンで球界最多の育成選手を保有してきたが、近年になってソフトバンクが制度の利用を拡大、2012年からは常に23~24人の育成選手を登録しており、巨人を上回っている。その内容も巨人が初年度の山口以降、外国人選手以外ではこれといった選手を発掘、育成できていないのに対し、ソフトバンクは山田大樹、二保旭、千賀滉大、飯田優也など、一軍の戦力として活躍した選手が現れている。現時点では最も有効的に育成制度を活用しているチームだといえるだろう。