JR東日本「中央線グリーン車」乗ってみた - 来年春まで普通車扱い
すでに大半の席が埋まっていたものの、比較的静かな環境であることは変わらない。国分寺駅で降りる際、デッキに移動しようとしたら、デッキは満員で、階段からドアまで進めないほど混雑していた。それでもドアが開くと、スムーズに利用者が入れ替わった。両開きドアと広いデッキの効果は、奇しくもグリーン車サービスが始まる前から発揮されているように見受けられた。 ■グリーン車サービスの開始は2025年春、料金は他線区と同じ ここまで述べた通り、中央快速線・青梅線のグリーン車サービスはまだ始まっておらず、正式なサービス開始は2025年春からの予定。サービス開始後、グリーン車に乗車する際はグリーン料金が必要となる。料金体系は他路線の普通列車グリーン車と同じで、利用距離50km以内の「Suicaグリーン料金」は750円、100km以内の「Suicaグリーン料金」は1,000円。紙のグリーン券は通常料金となり、「Suicaグリーン料金」に260円加算した額となる。「JRE POINT」の利用時は距離にかかわらず600ポイントが必要となる。なお、普通列車グリーン車は「グリーン車自由席」に区分されるため、必ず着席できるとは限らない。デッキに立ったままでもグリーン料金は必要とされる。 中央快速線・青梅線で利用距離が50km以内になる区間の例としては、東京~西八王子間(49.8km)、東京~羽村間(49.2km)、新宿~高尾間(42.8km)、新宿~青梅間(45.7km)、中野~相模湖間(47.9km)、三鷹~四方津間(49.9km)、立川~猿橋間(47.8km)、八王子~大月間(40.4km)などがある。運行区間最長となる東京~大月間でも利用距離は87.8kmなので、100kmまでの料金に収まる。
ただし、中央快速線・青梅線から他の線区へ1枚のグリーン券で乗り継ぐことと、立川駅で青梅方面から大月方面、大月方面から青梅方面へグリーン車を乗り換えることはできない。この場合は利用区間に応じたグリーン券が都度必要となる。大月方面・青梅方面から逆戻りせずに東京方面へ乗り継ぐ場合のみ、1枚のグリーン券で2列車以上のグリーン車に乗車できる。 中央快速線・青梅線にグリーン車が導入されることで、とくに恩恵を受けられそうな利用者層として、特急列車が停車しない駅が生活圏となっている沿線住民と、その駅周辺を目的にした行楽・お出かけ利用が考えられる。中央快速線は日中でも多くの利用があり、通勤時間帯はさらに混雑するため、普通車のみの編成だと、乗った時点ですでに座れなくなっている可能性が高かった。そのような状況でも、グリーン車があることで着席しやすくなり、快適な移動につながる。帰りの列車なら、なおありがたい。その他、平日朝夕の特急「おうめ」や臨時列車以外で特急列車が乗り入れない青梅線でも、リクライニングシート付きの列車が増えるので、着席機会が増えると見込まれる。 「グリーン車お試し期間」が始まった直後、多くの利用者がグリーン車に殺到し、普通車以上に混雑したことも話題になった。たしかに現時点でグリーン車を連結した列車は少ないが、いずれ中央快速線の全列車、中央快速線・青梅線直通列車にグリーン車が連結され、サービス開始後は追加料金も必要になるので、混雑は徐々に解消していくと思われる。中央快速線・青梅線のグリーン車お試し期間は始まったばかり。体験できるタイミングをうかがいつつ、正式なサービス開始も待ちたい。
若林健矢