これまでの常識は「逆に」危険 スマホを襲う進化したスパム電話やフィッシングリンク
銀行やクレジットカード会社、アマゾンになりすます詐欺師が世界的に見てスマホ利用者にとって最大の脅威であることが判明
■広告への安易な信頼も問題──セキュリティを蝕む要因 2023年、グーグルはフィッシング詐欺を含む虚偽表示を理由に約2億6500万件もの広告をブロックまたは削除した。さらに10億件を超える広告がマルウェア拡散などの悪用目的で削除されている。検索エンジンだけでなく、ソーシャルメディアも詐欺広告の氾濫に苦慮している。偽広告はソーシャルプラットフォーム上で最大級の詐欺カテゴリーの1つなのだ。 NordVPNのサイバーセキュリティ専門家であるアドリアナス・ワルメンホーベンはこう指摘する。「オニオマニア(買い物依存症)という現象は、私たちの日常生活に消費文化がどれほど深く根づいているかを示しています。多くの人が容易にインターネットにアクセスし、使いやすいショッピングアプリを利用できる現在、衝動的な購買行動は深刻な金銭トラブルを招くだけでなく、個人情報を頻繁に晒すことでデータ漏洩、フィッシング、その他のサイバー詐欺のリスクを高めてしまうのです」 ■90億件超のスパム電話分析が示す最大の脅威 ボイス・インテリジェンス・プラットフォームを標榜するHiyaは、2024年第3四半期だけで97億件ものスパム電話と疑われている通話を分析した。その結果、銀行やクレジットカード会社、アマゾンになりすます詐欺師が世界的に見てスマホ利用者にとって最大の脅威であることが判明した。Hiyaは世界中で1日1億500万件以上ものスパム電話を特定しており、これらの報告は我々が直面するリアルな脅威を浮き彫りにしている。 分析された97億件の音声通話には、迷惑なものだけでなく詐欺的なものも含まれていたが、Hiyaは詐欺に関しては銀行とクレジットカード会社が最もなりすましの対象になっていることを特定した。「詐欺師の目的は明白です。彼らは銀行やクレジットカード会社になりすまし、被害者からアカウント情報やパスワードを引き出して口座へ不正アクセスし、資金を奪おうとしているのです」とHiyaは述べる。 次に多いのはアマゾンのサポートを装う詐欺で、「Amazonアカウントに紐づくカードに問題がある」と脅したり、「注文や配送を完了するため詳細確認が必要」と騙して個人情報を引き出そうとする。ブラックフライデーなどの大型セール時期に多発するこうした詐欺について、アマゾンの広報担当者は以前こう語っていた。「アマゾンは顧客の信頼とセキュリティ確保に全力を尽くしています。法執行機関や公的機関とのパートナーシップを通じて、詐欺行為者に法的責任を追及するよう努めているのです」アマゾンは専門チームと機械学習専門家を配置し、フィッシングサイトを数時間以内に閉鎖し、報告を受けた詐欺電話番号は同日中に遮断するなどの取り組みを行っている。