内モンゴルの大自然の中でバトル!?有名女優も出演、中国の人気「離婚リアリティ番組」が想像の斜め上をいっていた!
中国で離婚をテーマにしたリアリティ番組が大きな話題を集めている。「家の恥を外にさらす」と離婚に対して忌避感が強い中国社会では出演者を探すのも大変だと思うのだが、有名女優や実業家、人気ブロガーなどの著名人が生々しく夫婦の悩みを番組で吐露しているのだ。番組がヒットしている理由としては、他人の家庭をのぞき見するような面白さはもちろんあるのだろうが、それだけでなくもう一つ、中国社会の変化や、中国人の意識の変化という理由もある。(フリーランスライター ふるまいよしこ) 【この記事の画像を見る】 ● 中国で大ヒット中のリアリティ番組、テーマは「離婚」 今、中国のネットで「離婚」をテーマにしたリアリティ番組がホットな話題を集めている。あまりの評判ぶりに筆者もオンラインで追いかけ始めたが、なかなか生々しくておもしろい。 番組のタイトルは「再見愛人」(英語題:See You Again)。「再見」とは中国語で「さようなら」、「愛人」とは日本語のそれとは全く違い、中国語では伴侶、つまり夫や妻を指す言葉だ。つまり、タイトルをぱっと見ると、「さようなら、あなた」みたいな意味となる。だが製作者によると、これは「再・見愛人」と読むこともでき、この読み方だと「あなたと再び出会う」、つまり「伴侶を改めて理解する」という意味になると説明している。 周知の通り、リアリティ番組ではそこに参加する人たちのプライバシーも含めた「生身」を紹介することを意図している。だが、「家の恥を外にさらす」という忌避感の強い中国で、出演者は都市在住者という設定とはいえ、社会全体ではいまだにネガティブに語られることの多い「離婚」に直面している生身の夫婦が、あえてこうした番組に参加すること自体が、筆者には驚きでもあった。
実際に、番組の第1シーズンでは、参加者探しが難航したらしい。もとより視聴者の関心を引くために、出演者は完全な一般人よりもそれなりに社会的知名度を持つ人たちを起用するというコンセプトで始めたため、製作チームは業界人脈を通じて「離婚」の噂が流れる業界夫婦にコンタクトを取ったが、拒絶されたり、逆に「どこからそんなデマを!」と怒鳴られることもあったそうだ。 しかし、最初のシーズンが大好評のうちに終わったことで、風向きが変わったという。 ● おしどり夫婦と評判だった有名な女優も出演 現在放送中の第4シーズンでは、3組の「離婚」を考え始めた夫婦6人が18日間の内モンゴルでの大自然の中で共同生活を送る。6人はこの間、スマホもPCも取り上げられ、他の夫婦たちや番組製作スタッフ以外の外部とは完全に接触を絶った状態で、共同生活をしながら毎日のように番組側が準備したゲームや心理テストをこなし、離婚を考えるに至った伴侶との関係を反芻する。 今回はまず、有名女優の黄聖依さんと、その夫で、企業家で美術品コレクターとして知られる楊子(本名は楊建民)さんが出演していることが、視聴者を驚かせた。これまで二人には裕福なおしどり夫婦という印象があったのに、実はすでに何年も別居状態にあり、忙しすぎる楊さんのおかげで17年間の結婚生活で二人きりで食事をしたことはほぼなかったと、黄さんは暴露した。 もう一組はペットブロガーの妻と、ウェイボで1200万人を超えるフォロワーを持つ有名な“毒舌”ブロガーの夫。1日目に番組側が準備したコンドミニアムに到着した途端、二人の間で激しい口論が発生する。だが、さも「いつものこと」といった風情の二人の様子から、視聴者の多くは二人の日常を理解することができた。 そして残りの一組は、10年ほど前に歌手選抜リアリティショーで名を知られるようになった夫と、その夫を無名時代から支えてきた妻の夫婦だが、どこから見ても仲良し夫婦のそれで、きっぱりと「離婚するつもりはない」と宣言。ただ、それぞれに二人の関係に問題があることを感じており、番組に出演してその問題点をあぶり出し、夫婦関係を続けていくための改善点にしたいと語った。