【40代・50代から知っておきたい!「誤嚥性肺炎」⑨】誤嚥を防ぐ「食べ方ルール&自衛策」を知っておこう!
「飲み込むとき、上を向くと飲み込みやすい」と思っている人が意外に多いのだが、それはまったくの誤解。実は飲み込むときにスムーズに食道に入って行きやすい首の角度や姿勢があるのだ。誤嚥の予防対策について、耳鼻咽喉科専門医の西山耕一郎さんに教えていただいた。
飲み込むときは「うなずき嚥下」で
皆さんは、飲み込むときに誤嚥しにくい首の角度があるのをご存じだろうか。 例えば牛乳を飲むとき、腰に手を当て、あごを上に向けて飲むポーズが知られているが、実はこれは誤嚥を招きやすい角度。なぜなら、あごを上に向けると喉が伸びて、喉仏を持ち上げる動きが悪くなってしまうからだ。しかも、食べ物や飲み物がダイレクトに気管に入ってしまう危険が! むしろ、飲み込むときに誤嚥しにくいのは、「うなずき嚥下」と呼ばれる、軽くおじぎするように下を向く角度。少し下を向く姿勢をとると、喉全体が狭くなるが、食べた物や飲んだ物が気管ではなく食道に流れやすくなるのだ。
「『うなずき嚥下』を40代~50代のうちから習慣化すると、高齢になってからの誤嚥のリスクがぐんと低下します。また、食べ物や飲み物を口にするときは、直前に息を吸ってから食べるのもおすすめ。そうすれば食べ物や飲み物を吸い込んでしまうことがなく、気管に入るリスクが減ります。そして、『うなずき嚥下』するときには、『今から飲み込むぞ』と意識して、完全に飲み込んでから息を吐くようにしましょう。この一連の動作を意識するだけでも、誤嚥を防ぐことができますよ」(西山先生)
飲み物は口の広い食器で飲む
500ml入りのペットボトル飲料を飲むとき、多くの人はボトルから直接飲むことが多いかもしれない。でも、口の狭いペットボトルは上を向く姿勢で飲むことになり、飲み物がダイレクトに流れ込むため、気管に入ってしまいやすいのだ。 「誤嚥を防ぐためにも、ペットボトルから直接飲むことはやめて、口の広いカップやグラスに注いで飲むようにするといいですね。口が広い食器を使えば、少し傾けるだけで飲むことができるので、『うなずき嚥下』で飲むことができますよ」