誰もが羨む「勝ち組生活」を捨てて“地下アイドル”に転身…メガバンクを辞めた“真っ赤な髪”の異色アイドルが明かす、銀行員時代の葛藤
大学進学は「親の母校」を選んだ理由
親の心情を察して、大学は「親の母校」へと進学した。ただ、けっしてそうしろと言われたわけではない。折原さん自身に「何かしたいと親に言っても、否定されるのが恥ずかしいし怖かった」という気持ちがあっての選択肢だった。 学生時代は「同じ学部の友人」に誘われて、軽音楽部の活動に没頭した。部員を前にしたステージで熱唱。当時から憧れていたアーティストの1組、OLDCODEX(2022年5月に解散)によるZepp Namba(大阪)公演のライブ鑑賞が、人生を大きく動かした。 「フロアで起こっていた(観客が激しくもみ合う)モッシュに巻き込まれて、客席前方へ押し出されたんです。OLDCODEXさんのライブでは曲中でステージにお客さんを上げるのが定番で『歌える人いるか』と問いかけられて、手を上げたのが私ともう1人の男性でした。 今、赤髪なのは当時『そこの赤い髪の子!』と見つけてもらったからで、アイドルとしてステージに上がる今も『1人でも多くの人に見つけてもらいたい』と願いを込めているんです。大勢のお客さんを前にして歌ったのはZepp Nambaが初めてで、会場の端から端まで自分の声が届き、地鳴りのような声援を浴びる空間で『自分の力でもう一度この景色を見たい』と思いました」
「普通の仕事をしたくなかった」のにメガバンクに就職したワケ
将来は、アーティストとしてステージに立ちたい。しかし、その思いを押し殺して、折原さんは就職活動をはじめた。父に喜んでほしいと思い、かつて、父が勤めていた企業の採用試験も受験。 結果として不合格となったが、コツコツ続けた就職試験対策の成果が実り、見事「メガバンク」の内定を勝ち取った。誰もがうらやむ人気企業への就職。しかし、心中は複雑だった。 「普通の仕事をしたくなかったんです。本当は、表舞台で歌いたかった。でも、親の期待もあるだろうと考えて、あきらめましたね。大学では2年生から就職試験の勉強をはじめて、面接の練習もたくさんしました。 父が勤めていた会社では、父の部下だった社員の方が面接してくださって、後日『面接を受けていただいてありがとうございます』と書かれた“お祈り”の手紙が来たんです(苦笑)。 別の候補として『堅い職種であれば安定するだろう』と考えたのが、メガバンクを受けたきっかけで、会社案内を参考に『女性が活躍できる場所で頑張りたい』と面接でアピールしました」
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