“世界に1台だけ”のポルシェ「911カブリオレ」がオークションに登場! 落札価格は「予想以下」も相場は過去6年で26%も高騰
ポルシェが手がけた“純正”ワンオフモデル
去る2024年10月11日から13日にかけて、アメリカ・テネシー州での「チャタヌーガ・モーターカー・フェスティバル」と併催されたブロード アローズのオークションに珍しいクルマが出品されていました。 【画像】「えっ…!」これがVIP向けに手がけたポルシェ純正のワンオフモデル「911カレラS カブリオレ」です(20枚) それこそが、本記事で注目する1998年式のポルシェ「911カレラS カブリオレ」。ありそうでなかった「カレラS」ベースのカブリオレで、ポルシェが超VIP顧客向けに手がけた希少な“ワンオフ”モデルです。
ていねいなメンテナンスとわずか約1万6400kmという低走行により、コンディション良好なこの貴重な「911」を初めに注文したのは、ドイツのポルシェコレクターであるハラルド・オットー・カレンベルグ。 「911ターボ カブリオレ」(ドイツでは14台が生産された)を購入する財力はあれど、「自然吸気エンジンを満喫したい」、「カレラ4S」の方が安定感はあれど「『カレラS』ならではの軽さを満喫したい」とでも考えたのでしょうか。 実はアメリカでは、ポルシェ・ビバリーヒルズが「911カレラS カブリオレ」を5台だけ販売したことがあります。ただしこれは、アメリカにて「911カレラ カブリオレ」を「911カレラS」仕様に改造(ポルシェエクスクルーシブが許可)したもので、あくまで“外部業者”によってつくられたものです。 それに対し、カレンベルグの「911カレラS カブリオレ」は、正真正銘の純正モデル。「911カレラ カブリオレ」としてツッフェンハウゼン工場の生産ラインを出た後、ポルシェエクスクルーシブのワークショップにて「911カレラS カブリオレ」へとカスタマイズが施されています。 しかも、TÜV(ドイツ技術検査協会)の検査を受け、この「911カレラS カブリオレ」がツッフェンハウゼンで製造されたことを示す書類(オリジナルのポルシェ工場改造フロントおよびリアパーツ)が記録として残されており、1998年5月に納車されています。 ●落札価格の大幅アップが期待されていたが…… カレンベルグは17年以上にわたって当該車両を所有し、走行距離をわずか1万6200km(約1万マイル)に抑えながら、ていねいにメンテナンスをおこっていたとされています。 そして2018年、このモデルはRMサザビーズのパリ・オークションで26万9375ユーロ(約31万7900ドル)でポルシェコレクターへと売却されました。 次のオーナーの下でも当該車両は同様に大切に保管され、過去6年間で追加された走行距離は280マイル未満とのことです。 記録によると、2022年にはドイツ・アスペルクにあるポルシェのレストア施設で整備を受け、“ポルシェクラシックテクニカル証明書”を取得。エンジン、コンバーチブルトップ、サスペンションといった主要な部分がメンテナンスされたそうです。 ちなみに、当該車両のブロード アローズによる落札予想価格は40万ドル~(約6152万円)でした。2023年に同じく1998年式の「911」(996型)をベースとしたポルシェのワンオフモデル「911 クラシッククラブクーペ」が120万ドル(約1億8455万円)で落札されたことから、相当期待していたようです。 しかしフタを開けてみると、落札価格は40万1000ドル(約6167万円)という結果に終わりました。「911 クラシッククラブクーペ」の足元にも及ばなかったと見るか、6年間で26%の価値上昇があったと見るか……あなたならどちらと見るでしょうか?
古賀貴司(自動車王国)